19年の法改正後、自由なキャリア乗り換えから競争激化 「転売ヤー」の標的にも
実は、今回の見直しは、過剰な競争、行き過ぎた値引き合戦の解消という理由に加え、端末を転売して設ける「転売ヤー」対策も大きな狙いだ。
過去、スマートフォンの値引き販売は、幾度となく過熱した。もともと転売もそれなりにあったが、2021年半ばごろから、携帯ショップなどで「1円スマホ」などの大幅値引きが再び拡大したのに目を付けた「転売ヤー」が、値引きスマホを買い占めてしまう事例が多発して問題になっている。
その引き金が、前述の2019年の法改正だったというのは皮肉だ。
この改正以前は回線と端末はセットが当たり前で、「2年縛り」といった回線を長期契約することを条件に、料金を値引きしていた。また、その端末を他社の回線で利用できない「SIMロック」も行われていた。だが、改正により、これらの「縛り」ができなくなり、顧客は自由にキャリアを乗り換えられるようになった。
こうした自由化自体はいいことだが、キャリアとしては結局、顧客獲得のために「1円」などの安売り競争に走らざるを得なくなった。
問題のもう1つは、2019年改正に伴い、ユーザーや消費者は回線を契約せずに、端末機を自由に購入できるようになったことだ。
実際にスマホを使う人は、通常は回線の乗り換えとセットで購入するが、端末購入が自由になったことに目を付け、文字通り原価割れの破格の割安端末を大量に購入し、転売する例が横行している。
また、端末のみの購入でなくても、回線契約の割安なプランが増えたことから、高価な端末を安く購入し、回線契約は早々に止める例も続出。ひいては、多数の人員を雇い、ショップの開店前から並ばせて、対象スマホを組織的に買い占める例まで報告されている。