徐々に活用が広まる!新たな不動産投資スタイル「不動産クラウドファンディング」...専門家がメリット&デメリット解説!(中山登志朗)

不動産クラウドファンディングのメリットとデメリットは?

   さまざまな要因から不動産価格が上昇する局面、また、コロナ禍で移動を伴う経済活動にまだまだ慎重にならざるを得ない状況下で、不動産クラウドファンディングは投資家にも、あるいは不動産投資にそれほど関心のない一般の消費者にも知られるようになってきています。

   特にクラウドファンディング自体に馴染みがあって、さまざまなものづくりや経済活動を購入や寄付で応援することを楽しむ若年層が増えたことで、抵抗感が薄れていることもまた、不動産クラウドファンディング拡大の一因です。

   では、不動産クラウドファンディングには、デメリットやリスクはないのでしょうか。

   投資商品ですからもちろん投資金額が回収できないといったリスク(元本割れ)は想定内ですが、それ以外のリスクについて考えます。

   まず、不動産クラウドファンディングは投資期間が事前に運用側によって決められており、その期間が満了しないと原則として売却・清算できません。つまり、自分が売りたいと思った時に売れないというリスク(流動性リスク)があります。

   ただし、不動産クラウドファンディングは小口化されており、一般的に一口1万円、5万円といった不動産投資としては極めて少額なロットから投資可能であることを考慮すれば、流動性リスクは相対的に低いと見ることができます(もちろん、まとめて大口投資するのであれば、話は別です)。

   また、不動産クラウドファンディングに投資する目的で、金融機関から融資を受けるといったことも現時点では極めてハードルが高いです。自身が保有する資産を担保として融資を受け、それを不動産クラウドファンディングに投資することはできますから、結果的には同じことですが。しかし、レバレッジを効かせた投資を実施したいと考えるならば、不動産の現物に投資したほうがスキームとしてはシンプルです。

   さらに、不動産クラウドファンディングにおける投資先は特定のファンドであったり、規模の小さい組織が主体であったりすることも少なくありません。したがって、解散・倒産した際に、投資資金を回収できなくなるというリスクは常にあります。

中山 登志朗(なかやま・としあき)
中山 登志朗(なかやま・としあき)
LIFULL HOME’S総研 副所長・チーフアナリスト
出版社を経て、不動産調査会社で不動産マーケットの調査・分析を担当。不動産市況分析の専門家として、テレビや新聞・雑誌、ウェブサイトなどで、コメントの提供や出演、寄稿するほか、不動産市況セミナーなどで数多く講演している。
2014年9月から現職。国土交通省、経済産業省、東京都ほかの審議会委員などを歴任する。
主な著書に「住宅購入のための資産価値ハンドブック」(ダイヤモンド社)、「沿線格差~首都圏鉄道路線の知られざる通信簿」(SB新書)などがある。
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