大学生の就職活動がいよいよ本番を迎え、(2023年)6月1日から採用面接が始まったが、「面接で、 不適切だと思う質問や発言をされた」人が2割にのぼることが、日本労働組合総連合会(連合、東京都千代田区)の調査でわかった。2023年5月31日の発表。
採用選考にあたっては、応募する人の人権を尊重すること、また適性や能力のみを基準とすることを原則としている。なかでも、昨今はジェンダー平等の意識の広がりから、面接での性別に関する質問は、就職差別につながる恐れがあるとされた。
企業側の意識も改善され、こうした質問はだいぶ減ってきているものの、調査では32.8%の人が就職活動で男女差別を感じたことが「ある」と答えていた。
「性別」「出生地」「収集してはならない情報」の記入求められていた
連合は、採用選考における就職差別の実態を把握するため、コロナ禍前に「就職差別に関する調査 2019」を実施。2回目の今回は、最近3年以内に就職のための採用試験(新卒採用、または中途採用)を受けた、全国の15歳~29歳の男女を対象(有効回答は1000人)とした。
調査では、採用試験で「応募書類やエントリーシート(インターネットの応募画面での入力を含む)で記入を求められた内容」について聞いたところ、最も多い80.5%の人が「性別」と答えた。
これは前回調査(2019年)の91.2%から、10.7ポイントと大きく減ったものの、なお8割を超える企業で記入を求めていた。第2位の「本籍地や出生地に関すること」は43.6%で、前回の56.4%から12.8ポイント減った。
第3位には「家族に関すること(職業、続柄、健康、病歴、地位、学歴、収入、資産など)」の37.2%。「生活環境・家庭環境などに関すること」(24.8%)が続いた。
「人生観、生活信条に関すること」(20.4%)や「労働組合に関する情報(加入状況や活動歴など)、学生運動など社会運動に関すること」(18.9%)、「思想に関すること」(16.6%)、「支持政党に関すること」(9.9%)、「宗教に関すること」(9.0%)といった、個人の思想を推し量りうることについて記入を求められたケースもみられた。
こうした内容は、いずれも応募した人の適性や能力に関係がない情報のため、採用活動時に収集してはならない情報とされているが、実際には記入を求められていることが明らかとなった。
また、「採用試験の面接で質問されたことがあるもの」を聞いたところ、「転勤ができるかどうか」聞かれたと答えた学生が43.3%、「残業や休日出勤ができるかどうか」が42.8%と、特に高くなった。転勤や所定外の労働の可否を聞かれた人は少なくない。
次いで、「家族に関すること(職業、続柄、健康、病歴、地位、学歴、収入、資産など)」(37.7%)、や「性別」(28.6%)、「本籍地や出生地に関すること」(28.3%)、「生活環境・家庭環境などに関すること」(28.1%)、「婚姻状況(未婚・既婚)」(27.1%)と続いた。
さらに、「結婚後や出産後の継続就労希望の有無」(22.2%)や「結婚の予定」(19.2%)など、結婚・出産に関することへの質問が多かった。また、質問された内容が男性と女性では異なっていることがわかった。