「やりたい仕事」と「やるべき仕事」、先にとりかかったほうがいいのはどっち?

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   「コツコツ書き続けて日本一になった書評家が、絶対に締切を破らないためにやっていること」という長い副題が目に入り、本書「先延ばしをなくす朝の習慣」(秀和システム)を手にした。

   やらなければならないことがたくさんあるのに、ついつい先延ばししてしまう。そんな悪癖を克服するには、朝の使い方がカギだと、説いている。特に在宅ワーカーには参考になりそうだ。

「先延ばしをなくす朝の習慣」(印南敦史著)秀和システム

   著者の印南敦史さんは、1962年生まれ。広告代理店勤務時代に音楽ライターとなり、音楽雑誌の編集長を経て独立。2012年から「ライフハッカー・ジャパン」で書評を書き始め、2020年には「書評執筆本数日本一」に認定された。著書に「遅読家のための読書術」「プロ書評家が教える 伝える文章を書く技術」などがある。

   年間700冊以上という読書をこなしながら、どうやったら、毎日書評を書き続けることができるのか。秘訣は「先延ばししない」ことだという。

   先延ばしするといっても、毎日締切があるから、先延ばしはできない。きのうと同じことを今日も続けるだけだというが、どうやったら、可能だろうか?

ルーティンを達成すると、リズムが生まれる

   印南さんは、起床から就寝までのルーティンを記し、朝の雑事に始まる、さまざまなルーティンが次々と達成されれば、その結果として生まれたリズムが心地よさを与えてくれて、結果として仕事は片付くという。「オンとオフを区別せず、仕事は日常であると考えるべきだ」という。在宅ワーカーには参考になりそうなアドバイスだ。

   通常、午前9時台から仕事を始める。書評家という仕事上、本を読むことから始まる。しかし、ニュースサイトやブログなどをチェックしているうちに10時を過ぎてしまうことも。そんなときはものすごく落ち込み、「負けた」気分になるという。

   逆に、いつもより早起きすると、そのぶん使える時間は増える。いつもと違う雰囲気のなかで、いつもより1時間早くパソコンを立ち上げられたら、時間に余裕が生まれる。

   大切なのは、朝早く起きて、早い時間からいい気分で仕事を始めること。早起きした自分と自分の状態を、心地よく肯定的に受け止めると、よりよい結果につながっていく、と考える。

   複数の仕事があった場合には、「やりたい仕事」と「やるべき仕事」に分ける。

   「やるべき仕事」から取り掛かると、軌道に乗りやすいそうだ。「やるべき仕事」を1つ終えるごとに、達成感と安心感を覚える。それを、「ポケットに小銭が増えていくような感覚」と例えている。

   仕事が進まないときのために、シンプルな2つの選択肢を用意しているという。

1 作業をきっぱりやめ、まったく別のことをして頭を切り替える
2 とりあえず、できるところまでやってみて、あとは翌日などに手をつける

   なるべく違う性格の仕事を気分転換のために利用することも勧めている。

   第2章のタイトルは「『すぐやる人』は午前中に9割終わらせる」。朝はルーティンワークが冴える「神時間」だと書いている。

   ブレインコーチのジム・クウィック著「LIMITLESS 超加速学習 人生を変える『学び方』の授業」(東洋経済新報社)から引用し、「一連の簡単な行動で脳を目覚めさせ、一日をトップギアで始めることには計り知れないメリットがある」と説明する。

   朝のルーティンは、テキパキこなすことに意味があるという。朝のあれこれを済ませたら書斎に入るが、ニュースサイトのチェックなどは最低限にした方がいいという。

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