全国で卵の供給不足と価格高騰が起こっている「エッグショック」の状況が少しずつ変わってきているようだ。
帝国データバンクが2023年6月6日に発表した「上場主要外食100社」卵メニュー休止状況調査(2023年6月)によると、5月9日時点で卵メニューの休止・休売した上場外食企業は27社となり前月比から2社減少した。
一方で、卵メニューを一部再開した企業は2社増え、エッグショックの影響に変化が起こっていることがわかった。
同社では、「鶏卵の調達ルートや在庫量、業態によって『エッグショック』の影響は二極化が進んだものの、外食産業における『卵メニュー』提供休止の圧力は徐々に緩和へ向かう兆しがみられる」と話している。
上場外食企業100社のうち2社で卵メニュー再開へ
鳥インフルエンザの感染拡大に伴う卵の供給不足や価格高騰など、いわゆる「エッグショック」の影響に変化が出始めている。
上場する外食大手100社のうち、2023年に入って卵メニューの休止や休売に踏み切った、または表明した企業は6月6日時点で27社判明した。
帝国データバンクの調査によると現在、100社のうち2社は卵メニューの提供を一部再開しており、5月末までに提供再開し始め、調査開始以来初の減少に転じた。
同社では、
「鶏卵の調達ルートや在庫量、業態によって『エッグショック』の影響は二極化が進んだものの、外食産業における『卵メニュー』提供休止の圧力は徐々に緩和へ向かう兆しがみられる」
としている。
卵の供給力、価格、地域差は徐々に回復の見通し 卵メニュー休止も解消へ
帝国データバンクの調べでは、JA全農たまごの6月の鶏卵1kg(東京Mサイズ)の卸売価格平均は6日時点で350円と、引き続き過去最高値だったという。なお、今年4月以降は価格が横ばいでの推移が続いている。
需給ひっ迫は続いているものの、鶏卵供給力は徐々に回復しつつあり、鶏卵価格は今後緩やかな下落に転じる可能性があるそうだ。
さらに、加工用殻付き卵の輸入のほか、植物由来の「代替卵」を使用した鶏卵メニュー開発など、鶏卵以外の選択肢もここにきて広がりを見せている。
同社では、
「卵価の下落や、『エッグショック』への抵抗力も背景に、卵メニュー休止の動きは緩やかに解消へ向かうとみられる」
とまとめている。
さらに、供給回復の地域差については解消されるのだろうか。帝国データバンクの担当者は、会社ウォッチ編集部の取材に、
「特に南九州地方などは被害が大きかっただけに、立ち直りが遅くなっている。一方で、中四国地方などでは回復が進んでいるようだ。鶏卵は全国の生産物が流通を介して国内で融通し合うため、供給力については緩やかに回復していくと見ている。
また、北海道だけは特殊な事情がある。北海道は道内産を道内で消費するかたちになっているため、流通が限られてしまい供給遅れが発生している。しかし、これも時間はかかるかもしれないが持ち直していくものと見られる」
と説明していた。