化粧品売り場の美容部員(ビューティー・アドバイザー)とのおしゃべりが楽しみで、メイク用品を買う人も多いだろう。しかし、「美」の世界にもAI(人工知能)が進出してきた。
スマホアプリに自分の顔写真を送ると、AIが最適の化粧品などを選んでくれる美容系「セルフAI診断サービス」だ。
モバイル市場専門の調査会社「MMD研究所」(東京都港区)が2023年6月5日、「化粧品のEC購入とセルフAI診断に関する調査」によると、利用している人はまだ1割だが、今後利用したい人は5割超だという。これって多い? 少ない?
スマホで顔を撮ると、AIが自分に合うスキンケアやメイクを指南
美容系「セルフAI診断サービス」とは、スマートフォンで顔を撮影すると、AI技術で「肌質」や「顔タイプ」を診断して、自分に適したスキンケアや似合うメイク方法を提案してくれるアプリサービスだ。
現在の肌タイプを画像から解析するほか、シミやシワ、うるおい、ハリなどの将来的なリスクをチェックしてくれるものもある。また、斜め横顔を撮影することで、「骨格」の特徴から立体的に「顔タイプ」を判断、目尻や目もとのシワ、ほうれい線などの正確な分析と診断をするものもある。
無料プランと有料プランがある。有料プランの中には、「肌質診断」結果の記録のほか、体重や体調、生理などのデータも記録して、アプリひとつで「総合的な美容管理」が可能になるものもある。
さて、MMD研究所の調査は15歳から69歳までの男女5000人が対象だ。「セルフAI診断サービスを知っているか、また、利用した経験があるか」と聞くと、「知っている」(認知)と答えた人は50.8%、また、利用経験のある人は10.3%だった【図表1】。
認知者の「利用したことはないが、今後利用してみたい」(22.9%)と、未認知者の「今後利用してみたい」(28.4%)を合わせた利用意向は51.3%となった【再び図表1】。これに利用経験者(10.3)を合わせると、全体の6割以上(61.6%)が関心を持っていることになり、今後、かなり広がりそうだ。
「肌質診断」より「骨格診断」に利用した人が多い理由とは?
ところで、どんな項目の診断に関心があるのだろうか。
項目別に「認知」や「利用経験」「利用意向」を聞くと、「認知」が最も多いのは「肌質診断」で33.8%。「利用経験」が最も多いのは「肌質診断」で7.3%。そして、「利用意向」が最も多いのは、意外にも「骨格診断」で38.7%となった【図表2】。
今、「自分の顔の骨格を知ると、メイクやファッションの世界が広がる」と言われている。「直線」タイプか、「曲線」タイプか、「大人」タイプか、「子ども」タイプか...。アプリによっては、これらの組み合わせから、いくつものタイプに分類。それぞれのタイプに似合う髪型やファッションまで提案するものもある。
さて、ではどんな美容系「セルフAI診断サービス」の人気が高いのか。
利用経験者に、利用したことがあるサービスを聞くと(複数回答可)、「肌パシャ」(26.7%)がダントツのトップだった。次いで「KOSE HADA mite(ハダミテ)」(16.1%)、「肌id」(14.5%)、「SEKKISEI(雪肌精) 透明感測定」(13.0%)、「AI美肌診断 Ci:SkinCam」(11.4%)、「バーチャル肌チェッカー」(9.7%)と続く【図表3】。
なんとなく、「スマホよ、スマホ、世界で一番キレイな人は誰?」といった、あの有名なおとぎ話の世界が伝わってくるようだ。
調査は2023年4月17日~19日、15歳~69歳の男女5000人を対象にインターネットを通じてアンケートを行なった。(福田和郎)