「世界一過酷な耐久レース」と言われるフランスの「ルマン24時間耐久レース」が2023年、100周年を迎え、6月10、11日に決勝が行われる。その見どころは何か。
日本からはトヨタ自動車が6連覇をかけて参戦するほか、100周年記念イベントではマツダがポルシェなどと並び、往年のレーシングカーをデモ走行させる。日本でも知名度の高いルマンだが、100周年の今年は例年以上に注目されそうだ。
第1回大会は1923年スタート...勝利は高性能の証し 日本勢は1980年代から続々参戦
ルマンはパリから約200キロ離れたロワール地方の中心都市だ。毎年、夏至が訪れる6月に市郊外の常設サーキットと、これに接する一般道を一時閉鎖し、24時間の耐久レースを行う。
一般道を含むこの特設コースは1周約13.6キロの「サルトサーキット」だ。かつては約6キロの直線が「ユノディエール・ストレート」と呼ばれ、最高速が出るスポットとして車載カメラの映像がファンを楽しませた。
これまでのルマンの最高速は1988年の予選で「WMプジョー P88」がユノディエール・ストレートでマークした時速405キロだという。
ところが、最高速が400キロ超となり危険なことから、1990年にストレートの途中2か所にシケイン(減速させるための小コーナー)が設けられ、かつての醍醐味は失われてしまった。
第1回目のルマン24時間耐久レースは第1次世界大戦後の1923年で、日本では関東大震災があった年だ。
第2次世界大戦後は、欧米の自動車メーカーがルマンで勝利することが高性能の証しとなることから、次々と参戦。地元フランスのアルピーヌルノー、ドイツのポルシェ、メルセデス・ベンツ、アウディ、イタリアのフェラーリ、ランチャ、英国のジャガー、アストンマーチン、米国のフォードなどがしのぎを削った。
日本メーカーは1980年代からトヨタ、日産、マツダが続々と参戦。1991年にはマツダがレーシングカー「787B」で日本メーカー初の総合優勝を果たし、現地では「ル・ジャポン・アタック」(日本の総攻撃)などと騒がれた。