丸井グループ(G)の株価が2023年6月1日の東京株式市場で一時、前日終値比84円(3.6%)高の2423円まで上昇した。
丸井Gは5月9日に発表した株主還元策が市場で評価され、翌10日に前日終値比450円(20.8%)高の2616円まで急伸し、2月1日につけた年初来高値を更新した。
その後は売り買いが交錯して足元では2300円台に下げていたものの、6月1日は岩井コスモ証券の目標株価引き上げ(2680円→2750円)を材料に、株主還元策も再び意識され、上値を追う展開となったようだ。
2200万株の自社株買い実施へ...証券会社リポート「機動力を高めた点は好印象」
丸井Gの株主還元策を確認しておこう。株主資本に対する配当の割合を示す「株主資本配当率(DOE)」と呼ぶ指標を導入し、2024年3月期からDOE8%程度を目安に継続的な増配を目指す、とした。
この考え方をもとに、2024年3月期の配当は前期比42円増の101円と、大幅に引き上げる計画。配当性向は、前期の54%から72%に上昇する。増配は12期連続となる。
さらに同時に、発行済株式総数の11.62%にあたる2200万株、金額で400億円をそれぞれ上限に自己株式を取得する計画も発表した。自己株式の取得は、株価水準をも勘案して6月1日から2024年3月31日の間、機動的に実施する、としている。
SMBC日興証券は5月10日配信のリポートで、この自己株式取得について「現在の株価評価が低いとのメッセージを強く発し、機動力を高めた点は好印象」と指摘した。
ただ、丸井GのPBR(株価純資産倍率)は現状、1.87倍。百貨店では高島屋が0.70倍、三越伊勢丹ホールディングス(HD)が0.99倍であり、業界の中では株価水準は低くない。