飲食業界の人手不足の状況は、どうなっているのだろうか?
ロボティクスソリューションカンパニーであるDFA Robotics(東京都渋谷区)は2023年6月1日、飲食店の経営者・役員・店舗統括長・採用責任者105名を対象に、飲食店における求人広告の効果に関するテーマでおこなった実態調査の結果を発表した。
調査によると、広告媒体による採用活動に苦戦している飲食店の採用担当者は「43.3%」に上っている。その要因についても聞いたところ、飲食店の「多忙で大変」「賃金が低い」「報酬や待遇が悪い」というネガティブなイメージなどが指摘されている。
一方で、今後に向けての採用活動では、コロナ禍明けの「リベンジ消費」を意識してか、「47.6%」の担当者が増員を検討。採用予算を増額する企業は「37.2%」に上るという。
求人広告の効果...「達成できている」50.2%、「達成できていない」46.4% 企業によって明暗分かれる
この調査は2023年5月15日から16日まで、コロナ禍以降に求人広告を出稿した経験のある、飲食店の経営者・役員・店舗統括長・採用責任者105人を対象にインターネット調査で実施したもの。
はじめに、「経営・運営する飲食店が、どれほどの頻度で求人広告を出稿しているか?」と質問した。すると、最多は3か月に1回程度で「29.5%」。以下、1か月に一回程度が「24.8%」、半年に1回程度が「21.0%」、1週間に1回以上が「13.3%」となった。
一方で、「直近1年間で求人広告にかけた費用分の採用を達成できているか?」と問いかけてみると、「非常にできている」が「14.4%」、「ややできている」が「36.1%」で合わせて「50.5」が「できている」と答えた。
他方で、「あまりできていない」が「30.9%」で「全くできていない」が「15.5%」となり、あわせて「46.4%」の担当者が「できていない」となった。人材採用がうまくいっているところと、そうでない企業が拮抗する結果になった。
続いて、「求人広告が人手不足の解消につながっているのかどうか」を聞いた。人手不足解消に「非常につなげられている」が「13.4%」、「ややつなげられている」が「43.3%」で「人手不足解消につなげられている」とした人は「56.7%」と過半数を超えたかたちだ。
ところが、「あまりつなげられていない」(27.8%)と「全くつなげられていない」(15.5%)を合わせた「43.3%」は、求人広告に悩みを抱えているといっていいかもしれない。
人手不足が解消できていない理由...「雇用が不安定」「業界内で取り合いに」「早期退職者多い」
さらに、「求人広告が人手不足の解消につなげられていない」とした人に理由を聞いてみると、「多忙で大変そうなイメージがあるから」が「66.7%」、「賃金が低いイメージがあるから」が「52.4%」が、「報酬や待遇が悪いイメージがあるから」が「38.1%」という回答が得られた。
人手不足解消につながらない理由を自由回答で見てみると
「雇用が不安定だから」(51歳)
「早期の退職者が多い」(45歳)
「業界内で人の取り合いになっている」(48歳)
「飲食業界全般がコロナ騒動以降、不人気だから」(56歳)
などが上がった。
つぎに、「今後1年間、昨年と比較し採用する人数は増減する予定か?」と聞いてみると、最多は「昨年と同程度の予定」が「41.9%」、次いで「プラス5名程度」が「18.1%」、「プラス10名程度」が「13.3%」など、企業全体のうち「47.6%」の企業が増員を検討していることがわかった。
これに関連して、「昨年と比較した採用予算の増減」を見てみると、最多は「100%(昨年と同程度)」が「43.8%」だった。次いで、「120%」が「19.0%」、「160%」は「4.8%」という結果になり、昨年度から増額する企業は「37.2%」となった。
同社は総括として、以下のようにコメントしている。
「今回の調査により、コロナ禍以降に求人広告を出稿した経験のある飲食店の4割以上が、『多忙で大変そうなイメージがあるから』といったイメージが原因で求人広告が人手不足解消としてうまく機能していないと感じていることが明らかとなりました。 求人に関する展望として、今後1年の採用人数、採用予算共に昨年と同程度かそれよりも多い値での採用を考えていることも分かりました。
また、人手不足の解消方法の選択肢として、接客や配膳、清掃業務などで貢献するサービスロボットについて、導入に興味があると回答した飲食店の経営者は半数以上となりました」