稟議の承認待ち、部長の成果物チェック、客先からの返答待ちなどビジネスパーソンにはなにかと待ち時間が発生するものだが、みなさんは気長に待っていられますか?
腕時計メーカーのシチズン時計(東京都西東京市)は2023年5月30日、日常のさまざまなシーンでの「待ち時間」について調査するビジネスパーソンの「待ち時間」意識の結果を発表した。
仕事での業務発生中の待ち時間や、それ以外のプライベートで発生する待ち時間を調査したところ、ビジネスパーソンがせっかちになっている反面、ゆったり待てる「気長化傾向」のある場面があるなど、社会人の実態が明らかになった。
通勤・業務時間中に感じる「イライラ感」は? 信号待ちや電話の保留、気長に待てるように
調査の実施に当たっては、2023年4月7日から9日まで、インターネットアンケート・集計で、20代、30代、40代、50代の全国のビジネスパーソン400人を対象に行った。
調査の質問文はすべて同じで、「どのくらい待たされるとイライラしますか?」として、さまざまな施設、場面、状況を聞いた。
はじめに、通勤や仕事中に感じる待たされる状況で、どのくらいビジネスパーソンがイライラしているか、チェックしてみよう。
まず、「通勤時の電車の遅れ」では、待てる時間は「10分」(28.5%)とした人がトップとなった。次いで「5分」(21.3%)だった。
「10分まで」(3分と5分、10分の合計)では「62.6%」がイライラを感じており、18年調査の「66.8%」とほぼ同じ結果になった。日本の鉄道は定刻運行が当たり前になっているためか、朝の慌ただしい通勤時に電車が10分遅れるのは許せないようだ。
続いて、「エレベーターを待つ」の結果を見ると、エレベーターは「1分超」が「37.0%」、「1分」は「26.5%」が多く、この2つを合わせると「63.5%」に上った。エレベーターを待てる時間は「1分~1分超」が限界らしい。
また、「歩行者として信号を待つ」では、イライラしはじめるのは「1分超」(42.5%)と「1分」(24.0%)が多く、この2つを合わせると「66.5%」を占めた。「1分超」はなんと、18年調査から10ポイントも増加しており、気長になっている傾向がみられる。
同社では、
「信号待ちの際、スマートフォンを見ている人が多く、また、残り時間を目盛り表示する信号を目にすることも多くなってきましたので、その分気長になったということかもしれません」
と解説している。
さらに、「電話口で待たされる時間」は、「少々お待ちください」と電話口で待たされるケースがあるが、どのくらいが我慢の限度なのだろう?
回答は「1分」(31.8%)、「30秒」(23.3%)、「1分30秒」(21.8%)に集中した。「30秒まで」(5秒、10秒、20秒、30秒の合計)が「38.2%」を占める中、「1分まで」(5秒~1分)だと「78.5%」がイライラしているようだ。
電話の保留は30秒、長くても1分以内が目安になりそうだ。18年調査では、「30秒まで」で半数を超えて(51.1%)いたので、少し気長になっている。
就業時間外の「イライラ感」は? 役所・スーパー・ファーストフードで気長に待てるように
ここまで仕事にかかわりそうな項目を見てきたが、今度は仕事以外ではどうだろうか。公共施設や飲食・小売りで感じるイライラ感についての調査結果を見てみよう。
まず、なにかと待たされることの多い「役所」でどのくらい我慢できるか結果を見ると、トップは「15分」で「28.0%」が最多となった。18年調査と比べ、「5分」(前年度比マイナス2.3ポイント)、「10分」(前年度比マイナス12.0ポイント)が減り、一方、「30分」(前年度比プラス7.3ポイント)、「30分超」(前年度比プラス6.2ポイント)は増えており、少し気長になっている傾向が見える。
続いて、「スーパー」でのレジ待ち時間は、「5分超」が「27.8%」、「3分」が「25.8%」の順となった。 18年調査と比べ、「5分」(前年度比プラス1.8ポイント)、「5分超」(前年度比プラス9.3ポイント)が増加。スーパーでのレジ待ちは気長になったようだ。
一方、「コンビニ」は「3分」(27.3%)がトップで、「3分まで」(30秒、1分、2分、3分の合計)に「76.4%」がイライラを感じるようだ。同じレジ待ちでも、スーパーよりもコンビニの方がイライラしはじめるのが早いようだ。
さらに、「ランチタイムの飲食店での空席待ち」では、ランチタイムの飲食店での空席待ちは、「15分超」の「41.3%」がトップとなった。「15分超」は18年調査から約12.5ポイントの上昇を見せ、空席待ちもやや気長になっている。
同社では
「外出自粛やリモートワークにより外食の機会が減っていたこともあり、その反動で、外食できる喜びが、『ある程度長く待っても構わない』という感覚につながっているのかもしれません」
としている。
「石の上にも3年」というが、我慢強く辛抱できるのはどれくらい?
最後に、「『石の上にも3年』は、『我慢強く辛抱すれば必ず成功する』ということわざですが、あなたなら、『我慢強く辛抱』する時間が何年までなら耐えられますか」と聞いた。
すると、最多となったのは「3年」(38.3%)だった。続いて、「1年」(21.0%)、「1カ月」(9.0%)、「5年」(7.3%)となった。回答の9割近くが「3年以内」に集中している。
この結果に、同社では、
「効率化、時短が進んだ現代で、さらに時間対効果を重視する『タイパ』という考え方が広がっていることもあり、成功したり、一人前になるために頑張るのは3年が限界のようです。ちなみに、回答の平均値は2年3ヵ月でした」
としている。
同社は総括として、一般的な人の感覚が「気長傾向」になっていることに着目し、理由として
・コロナ禍による時間意識・感覚の変化
・DX化に伴うオンライン予約やモバイルオーダーなどの普及
・スマートフォンなど携帯端末向けコンテンツの充実
を上げており、ビジネスパーソンの意識の変化を説明している。