「今どきPDCAなんて古いですよ!」目標未達チームの改善に不平を言う部下...どう対応する?【上司力を鍛えるケーススタディ CASE30(後編)】(前川孝雄)

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小さな成長の階段づくりを行う

   上司は、部下のPDCAのなかに「小さな成長の階段づくり」を織り込ませることにも、留意しましょう。

   人は、数十キロのマラソンのゴールに向けて一気に走りきるように言われると、気が遠くなります。しかし、その途中途中の段階での目標を小刻みに確認し、一つずつクリアすればよいと思えば踏み出すことができます。そして、小さな努力の積み重ねによって、最終達成もできるのです。

   前項の営業力強化の例でいえば、最初のステップでは店頭や訪問先での挨拶や説明が気持ちよくスムーズにできることを目指します。次のステップでは、相手の要望や、やや深いニーズを聴き取ることに取り組ませます。そして、最終ステップでは、相手の期待以上の提案をどう届けるかを考えさせるといった具合です。

   こうした段階的な小さな目標づくりも、まず部下自身に考えさせましょう。

   実行段階では、ミーティングの都度に、できたことは褒めてさらに伸ばし、できなかったことは改善への工夫を促し、伴走していくのです。

   以上のように、上司の支援を受けながら若手社員が仕事のPDCAを自分自身で効果的に回せるようになれば、自己裁量での仕事の範囲も広がっていき、主体的に仕事を進めることができるように成長の道筋が見えてくるでしょう。

※「上司力」マネジメントの考え方と実践手法についてより詳しく知りたい方は、拙著『部下全員が活躍する上司力 5つのステップ』(FeelWorks、2023年3月)をご参照ください。

※「上司力」は株式会社FeelWorksの登録商標です。


【プロフィール】
前川 孝雄(まえかわ・たかお)
株式会社FeelWorks代表取締役
青山学院大学兼任講師、情報経営イノベーション専門職大学客員教授

人を育て活かす「上司力」提唱の第一人者。リクルートを経て、2008年に管理職・リーダー育成・研修企業FeelWorksを創業。「日本の上司を元気にする」をビジョンに掲げ、「上司力研修」「50代からの働き方研修」「eラーニング・上司と部下が一緒に学ぶ パワハラ予防講座」「新入社員のはたらく心得」などで、400社以上を支援。2011年から青山学院大学兼任講師。2017年働きがい創造研究所設立。情報経営イノベーション専門職大学客員教授、一般社団法人 企業研究会 研究協力委員、一般社団法人 ウーマンエンパワー協会 理事なども兼職。連載や講演活動も多数。
著書は『50歳からの逆転キャリア戦略』(PHP研究所)、『「働きがいあふれる」チームのつくり方』(ベストセラーズ)、『コロナ氷河期』(扶桑社)、『50歳からの幸せな独立戦略』(PHP研究所)、『本物の上司力~「役割」に徹すればマネジメントはうまくいく』(大和出版)、『人を活かす経営の新常識』(FeelWorks)、『50歳からの人生が変わる 痛快! 「学び」戦略』(PHP研究所)等30冊以上。最新刊は『部下全員が活躍する上司力 5つのステップ』(FeelWorks、2023年3月)。

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