1on1ミーティングの重要性
2章では、指示よりも大切な「聴く」行為について説明している。ヤフーが2012年から全社で行っている「1on1ミーティング」の例が参考になる。
全マネジャーは、直属の全メンバーと週に1回30分程度をめどに、1on1ミーティングを行っているという。
コロナ禍で在宅勤務になっても混乱が起こらず、リモートワークが進んだのは、1on1ミーティングを行ってきたからだと、伊藤さんは考えている。
ヤフーでは、1on1ミーティングを以下のように定義しているという。
「マネジャー(リーダー)がメンバーのために定期的に時間を割き、メンバーの話に耳を傾けることを通して、目標達成と成長を支援する場」
1on1ミーティングが「リーダーのための時間」ではなく、「メンバーのための時間」であることが重要だ。
たくさん話してもらうために、「5W1H」や「具体と抽象を行き来する質問」「深掘りしたり、広げたりする質問」を意識して問いかける。また、「振り返り」と「気づき(教訓)を話してもらうことで、目標達成と成長を促す。これらがポイントとなってくる。
3章では会議の進め方、4章ではチームでのゴールの決め方について解説していて、参考になるだろう。
たとえば、「議論はピラミッドストラクチャーのすり合わせ、戦い」であること。つまり、賛成の主張と根拠のピラミッドと、反対の主張と根拠のピラミッドをつくり、それを戦わせることである。そのために、リーダーがファシリテーターとして機能することの重要性を指摘している。
ゴール設定では、「チームでやること、やらないこと」を決める。
チームのビジョン=ゴールは、長期、中期、短期の3つの軸で設定すること。さらに、チームのビジョン(定性的なゴール)と数字目標を一致させることを意識することも必要だ。そのための仕組みや仕掛けが、新しいチャレンジにつながる。
「社会はあなたがどう思おうが、確実にフラットになっていく」と結んでいる。リーダーやマネジャーに求められるスタンスが変わったことに気づき、メンバー1人ひとりに寄り添うことに気づくことができるかどうかに、あなたのチームの将来はかかっている。(渡辺淳悦)
「『僕たちのチーム』のつくり方」
伊藤羊一著
ディスカヴァー・トゥエンティワン
1650円(税込)