真のリーダーが、チームを「ゴール」に導くためにしていること

   この春から、リーダー的なポジションについた人も多いのではないだろうか。しかし、高い数値目標に追われて焦っていたり、チームメンバーのモチベーションに温度差があったりと、自信がないチームリーダーに勧めたいのが、本書「『僕たちのチーム』のつくり方」(ディスカヴァー・トゥエンティワン)である。

「『僕たちのチーム』のつくり方」(伊藤羊一著)ディスカヴァー・トゥエンティワン

   著者の伊藤羊一さんは、日本興業銀行、プラスを経て、2015年からヤフーに。現在ZホールディングスのZアカデミア学長として、次世代リーダー開発を行っている。また、2021年に武蔵野大学アントレプレナーシップ学部の学部長に就任。代表作に「1分で話せ」「1行だけ書く日記」などがある。プラスやヤフーにおける実例を紹介しながら、リーダー論を展開しているので、説得力がある。

ヒエラルキー型組織では、新しいものが生まれない

   リーダーの役割はチームを「ゴール」に導くことだ、と最初に説いている。

   まずは、メンバー全員がゴールを共有することがスタートになる。次に、「導く」。メンバーの進捗を聞きながら、鼓舞し続けながら、時にはやり方を変えながら、ゴールに向かうプロセスをリードし続ける。

   そして、「チーム」への働きかけ。だが実際には、「何か反発されるのは怖いから」とか「個人個人のやりたいようにやって成果が出ればいいので」と、「放任主義」という名の「放置」で何もしないリーダーがどれだけ多いことか、と批判している。

   ゴールとプロセスだけ提示されても、人は疲弊していくので、メンバーが成長し、チームとして目標に向かって進んでいく環境をつくるのは、リーダーの役割だと強調している。

   1章では、個々の強みを活かすチームづくりについて述べている。最初に、「ヒエラルキー型組織では、もう新しいものが生まれない」と提示しているのが新鮮だ。

   ヒエラルキーが明確なチームでは、会議の場でも発言の順番が決まっていることが多い。経験を積んだベテランは「正解」を知っているので、若手は言いたいことが言えない。

   しかし、現代は多様性こそがイノベーションの源泉であり、成長の原動力であるという社会になっている。メンバー1人ひとりの意見が活発に飛び交う「フラットなチーム」が求められているのだ。

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