行動制限がない夏、さらなる活発化に期待
今回の調査で、コロナ禍での行動制限が酒類業界に与える影響が、いかに大きかったかがわかった。
1回目の緊急事態宣言が発出されたタイミングで、酒場DIは最悪の「5.1」にまで低下。2022年以降は回復と悪化を繰り返しながらも上向き、今年に入ってようやく大きくに改善した。
企業からは、「新型コロナ禍前の販売実績まで回復しつつある」(清酒製造、宮城県)ほか、飲食業界は「リベンジ消費」が発生しているといった声が複数あがっている。
その一方で、「生活習慣の変化が一時的なものではなく、夜の外出をする人が減ったままの日常に変化したため、飲み会も減り、居酒屋の利用が戻らない層がある」(酒場,ビヤホール、神奈川県)というように厳しい声も依然ある。
帝国データバンクは、
「4年ぶりに行動制限がない夏を迎えることで、厳しいながらも業界全体がさらに活発化してくことが見込まれる」
とみている。
5月12日までに判明した酒類大手4社の2023年12月期(予想)の連結売上高は、4社とも前年同期比で増収となる見通し。【図2参照】
景気の持ち直しの動きのなか、飲食業界などの業務用需要の回復が好材料となる。加えて23年10月のビール・日本酒の減税は追い風になるはずだ。
そんなプラス材料の半面、原材料価格や電気代、輸送費の高騰などにともなう商品価格の改定は下押し要因となる。
酒類景気の上昇には、夏の暑さがもう「ひと押し」につながることが期待されるが、どうなるか――。