どれくらいの人が、どんな副業を、何のためにしているのか? 労働政策研究・研修機構の大規模調査(鷲尾香一)

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   労働政策研究・研修機構は2023年5月19日、「副業者の就労に関する調査結果」を発表した。副業を行う理由として、非正社員の43.9%が「収入が少なく、生活ができない」をあげている。

副業をしているのは、男性よりも女性のほうが高い割合

   調査は159万8770人を対象に実施され、18万8980人から有効回答を得た。このうち、1万1358人(6.0%)が「副業をしている」と回答した。副業をしている人の割合は男性が5.1%、女性が7.4%で、男性よりも女性が高い割合となっている。

   男性では30代が6.2%と最も高く、女性では60~64歳が8.3%となっているが、各年代とも女性の割合が男性を上回っている。(グラフ1)

   副業の数は「1つ」が78.0%を占め、「2つ」が17.6%、「3つ」が3.3%だったが、「6つ」という強者も0.1%いた。

   副業者のうち、本業の就業形態では「正社員」が38.1%、「非正社員」が41.0%、「非雇用者」が20.9%となっており、「非正社員」がもっとも高い比率を示している。さらに、副業の就業形態でも、「非正社員」が60.1%でもっとも高く、次いで「非雇用者」が33.1%、正社員は6.8%となっている。

   本業と副業の関係を「正社員」「非正社員」「非雇用者」に区分し、その組み合わせを見ると、最も多かったのは「本業が非正社員で副業も非正社員」の32.9%。次いで、「本業が正社員で副業は非正社員」が19.5%、「本業が非雇用者で副業も非雇用者」が12.9%、「本業が正社員で副業は非雇用者」が12.2%の順となっている。(グラフ2)

本業と同じ業種で副業を行っているケースが高い

   副業の業種を見ると、「宿泊業、飲食サービス業」「医療・福祉」の割合が10.5%でもっとも高く、次いで「卸売業・小売業」が10.3%となっている。

   特徴的なのは、本業と同じ業種で副業を行っているケースが高いことだ。

   特に、本業が「医療・福祉」では副業も「医療・福祉」の割合は51.6%、本業が「教育・学習支援業」では副業が「教育・学習支援業」が50.3%と半数以上が同じ業種で副業を行っている。

   副業で働く頻度では、「週の1~2日程度」の割合が31.4%とトップ、「週の半分程度」が18.6%、「月に数日程度」が16.7%となっている。本業の就業形態別でも、「正社員」「非正社員」「非雇用者」のすべてで「週の1~2日程度」が最も高いが、一方では「ほぼ毎日」がすべての区分で10%を超えており、非雇用者では18.3%に上っている。(グラフ3)

副業で得ている1か月の収入額は?

   副業で得ている1か月の収入額では、「5万円以上10万円未満」が30.0%で最も高い。次いで、「10万円以上15万円未満」が13.2%、「3万円以上4万円未満」が10.5%、「2万円以上3万円未満」が10.2%となっている。

   ただ、非雇用者では25万円以上が13.7%と高い。これは、本業は非雇用者で副業が正社員という組み合わせの36.4%が25万円以上の収入を得ているためだ。

   最も注目すべきは、副業の理由(複数回答)だ。

   全体では、「収入を増やしたいから」が54.5%、「1つの仕事だけでは収入が少なくて、生活自体ができないから」が38.2%と高い割合となっている。特に「非正社員」で「1つの仕事だけでは収入が少なくて、生活自体ができないから」の割合が43.9%と高い。(グラフ4)

   就業形態の組み合わせでも、本業が正社員で副業が非正社員では「収入を増やしたいから」が62.5%で最も多い。

   それに対して、本業が非雇用者で副業が非正社員では「1つの仕事だけでは収入が少なくて、生活自体ができないから」が52.3%と最も多く、本業が非正社員で副業も非正社員でも47.4%と高い割合を示している。

   このように調査結果を見ると、副業は「余暇の有効活用」や「豊かな生活水準」のためのものではなく、少なくとも、本業が非正社員や非雇用者にとっては、生活費を稼ぐために行われているという厳しい現実を垣間見ることができる。

鷲尾香一(わしお・きょういち)
鷲尾香一(わしお・こういち)
経済ジャーナリスト
元ロイター通信編集委員。外国為替、債券、短期金融、株式の各市場を担当後、財務省、経済産業省、国土交通省、金融庁、検察庁、日本銀行、東京証券取引所などを担当。マクロ経済政策から企業ニュース、政治問題から社会問題まで、さまざまな分野で取材。執筆活動を行っている。
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