「インド太平洋経済枠組み(IPEF)」、1分野で初の合意 大はしゃぎの日米に、他国からは「冷めた目」が注がれる理由

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互いの関税を引き下げは想定せず 「参加しても輸出増などは期待できない」の声

   ただ、大はしゃぎする日米を尻目に、他国の目は冷ややかだ。

   IPEFは、環太平洋経済連携協定(TPP)のように、互いの関税を引き下げることは想定していない。このため、ASEANなどの参加国から「関税引き下げを伴わなければ、参加しても輸出増などは期待できない」「米国に付き合って参加しているが、過度な期待もしていない」との冷めた声が漏れるのは当然と言えるだろう。

   TPPをはじめとするこれまでの大型の経済圏構想は、米国という巨大市場へのアクセス拡大、つまり関税引き下げによる対米輸出増が最大の魅力だった。だからこそ、参加する途上国は貿易ルールなどで、外国企業を差別しないなどの苦い薬も飲んできた。米国市場へのアクセス拡大なきIPEFの限界は、発足当初から指摘されてきた。

   実際、IPEFの前途は多難だ。

   米国は今回のサプライチェーン分野での合意を糸口に、今秋のアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議までに他の3分野でも合意を目指している。

   ただ、たとえば貿易分野では、米国がデジタル経済の域内のルールの統一化、労働者の権利保護などで高いレベルの要求を各国に突きつけており、新興国側の警戒を招いている。

「サプライチェーンは参加国が最も合意しやすいテーマだったが、他の3分野の協議が同じようにスムーズに進むと考えない方がいい」

   交渉関係者はこうクギを刺す。

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