不動産業から見た「活気のある街」はどこ? ランキングには都内各所が占める中、埼玉県&千葉県のあの街も健闘!

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   いま、元気な街はどこ?

   そんな疑問に、企業数や地価公示価格をもとにランキングをつくったのが、東京商工リサーチ(東京都千代田区)が2023年5月30日に発表した「企業数から見た首都圏の不動産業『活性度』調査」だ。

   この調査では、企業数、新設法人率、地価公示価格などから「活性度ポイント」を算出し、総合的な数値で見たところ、国内で一番元気な街は「東京都港区」となった。

   一方で、活性度総合ランキングの2位には「埼玉県さいたま市大宮区」、8位には「千葉県木更津市」が、それから企業数に占める新設法人率の2位には「埼玉県八潮市」がランクインするなど、東京近郊の都市も健闘した。

  • 港区のシンボルといえば東京タワー(写真はイメージです)
    港区のシンボルといえば東京タワー(写真はイメージです)
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1位は東京都港区、2位はさいたま市大宮区、3位は東京都中央区

   この調査は、東京商工リサーチの企業データベースから、首都圏(東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県)の「不動産取引業」「不動産賃貸業・管理業」を抽出し、企業数が200社以上の131市区郡を各ランキングにまとめた。

   ランキングでは、首都圏の不動産業を対象に、(1)企業数、(2)新設法人率(全企業数に占める新設法人数)、(3)新陳代謝率(倒産、休廃業・解散に対する新設法人の割合)、(4)2019年から2022年の新設法人数増減率、(5)エリア別の1企業あたりの世帯数、(6)2020年1月から2023年1月の地価公示増減率、を市区郡ごとに算出し、エリア別に「活性度ポイント」を算出したものとなっている。

   なお、活性度ポイントとは項目の(1)から(6)をポイント化し、平均したものを活性度ポイントと設定した。各項目のポイントは、一般的な偏差値の公式「(各項目の数値-項目の平均)÷標準偏差×10+50」で算出した。

(東京商工リサーチの作成)
(東京商工リサーチの作成)

   はじめに、算出した活性度のランキングを見てみると、「東京都港区」が66.8ポイントでトップとなった。新設法人数は、コロナ禍前の2019年比で「17.1%」減少したが、企業数は1万723社と最多となり、ポイントを押し上げた。

   2位は、「埼玉県さいたま市大宮区」の65.5ポイントで、地価公示上昇率が際立って高かった。このほか、東京湾アクアライン開通やコストコ本社の移転先として話題になった「千葉県木更津市」が8位にランクインし、JR橋本駅南口でリニア中央新幹線新駅の工事が進む「神奈川県相模原市緑区」が11位に入った。

(東京商工リサーチの作成)
(東京商工リサーチの作成)

   続いて、不動産業が最も集まっているエリアは「東京都港区」で1万723社だった。

   これについて同社は

「商業施設やオフィス、マンションなど多くの施設が立地し、国内有数の職住一体エリアだけに用途を問わず様々な不動産が取引されている。各国大使館の半数以上が港区に所在しており、国内だけでなく、国外からの不動産需要も高いエリアになっている」

   と説明する。

   次いで、2位が「東京都渋谷区」で6863社、3位が「東京都新宿区」で6771社の順だ。5位まで官公庁やオフィス、商業施設などが集積する都内5区が占めた。さらに都内23区では、荒川区、墨田区、葛飾区、北区の4区を除き20位以内に入り、東京の一極集中を裏付けた形になった。

   東京都以外では、20位に「神奈川県横浜市中区」がランクイン。「元町・中華街」や「関内」駅があり、商業施設や飲食店が多い。このほか、埼玉県では21位に「川口市」が1836社、千葉県では22位に「船橋市」が1596社で、それぞれランクインした。

(東京商工リサーチの作成)
(東京商工リサーチの作成)

   企業数に占める新設法人率では「東京都千代田区」が7.0%でトップとなった。同社は、次のように解説する。

「大企業が集中する丸の内・大手町を抱えた国内経済活動の中心地で、優れた交通利便性からオフィスを中心に不動産取引が活発なエリアになっている。新設法人数は430社で、2番目に多かった」

   2位は「埼玉県八潮市」の「6.6%」、3位は「神奈川県横浜市磯子区」が「6.3%」で続く。都心や横浜駅近郊のオフィスエリアへのアクセスが良好なベッドタウンであるほか、工場・物流施設が多い工業地帯としての性質を持ち合わせたエリアとなる。

   また、新設法人数が最も多い「東京都港区」は、新設法人率が「5.1%」で11位にランクインした。

   東京都はオフィス・商業施設が集積し、新設法人率も高いが、埼玉県、神奈川県、千葉県は、県内中心部よりベッドタウンエリアで新設法人率が高くなる傾向がある

新設法人と解散法人を比較した街の「新陳代謝率」 1位は国分寺市、2位は大宮区、3位は成田市

(東京商工リサーチの作成)
(東京商工リサーチの作成)

   さらに、2022年の新設法人数と倒産や休廃業・解散数を比較した「新陳代謝率」では、新設法人の割合が最も高いエリアは「東京都国分寺市」の1700.0%(新設法人17社、倒産、休廃業・解散1社)となった。

   一方、逆に倒産、休廃業・解散数が新設法人数を上回るエリアは、「東京都東久留米市」と「東京都青梅市」、「神奈川県横浜市港南区」の3エリアのみとなる。

   同社では、

「首都圏では、宅建業者を含め不動産業者数は増加傾向にあり、大半のエリアで新設法人数が倒産、休廃業・解散数を上回った
新設法人の割合が高いほど、経済活動が活発で不動産需要が高いエリアとみることができるが、その分だけ同業者間の競合は激しく、市場規模からみた過熱感の高まりから進出が難しいエリアになる可能性もある」

   と説明している。

(東京商工リサーチの作成)
(東京商工リサーチの作成)

   一方で、新設法人数を2022年と2019年で比較すると、最も増加率が高いエリアは「千葉県木更津市」の「250.0%」だった。

   同社では

「東京湾アクアラインの開通で神奈川と東京中心部への利便性が高まったエリアで、住宅や商業施設などの開発が進んでいる。新設法人数は、2019年の4社から2020年8社→2021年12社→2022年14社と3年連続で増加している」

   とコメントしている。

   次いで、2位の「神奈川県横浜市栄区」が「233.3%」、3位の「神奈川県相模原市緑区」が「200.0%」で続く。東京23区では、「東京都文京区」が「30.5%」で24位に入った。

(東京商工リサーチの作成)
(東京商工リサーチの作成)

   最後に、2023年とコロナ禍前の2020年(1月1日時点)の地価公示を比較した。地価上昇率は「埼玉県さいたま市大宮区」が「19.6%」で突出した。

   理由について同社は、

「もともと埼玉県の商業の中心エリアだが、大宮駅周辺で大規模再開発が進行しており、さらに利便性が高まることが期待されている」

   と指摘した。

   次いで、2位が「千葉県浦安市」で「14.0%」、3位が「千葉県習志野市」で「11.5%」と続いていく。

   東京23区では、14位に「東京都台東区」が「7.0%」、16位に「東京都港区」が「6.9%」でランクインした。都心部でも地価公示は上昇しているが、すでに高価格帯で推移しており、相対的に割安感のある埼玉県や千葉県エリアで上昇率が大きい傾向が見られたようだ。

   同社は以下のように調査を総括している。

「郊外でも交通インフラの整備で利便性が飛躍的に高まったエリアは、活性度ランキングで上位にランクインしている。不動産価格の高止まりが続く中心部エリアに対し、開発余地を残す郊外エリアの活性度がどう変化するか、今後の動向が注目される」
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