中国がおかしい! 悪化する世界経済にあって、唯一、牽引役として期待されているのに、相次いで発表される経済指標が、中国経済の息切れ状態を示しているのだ。
米経済メディア「ブルームバーグ」は2023年6月1日、「世界のマネーが中国離れ」という見出しをつけ、「中国株の主要指標は直近の高値から20%下落し、弱気相場入り」と報じた。
世界経済はどうなるのか。エコノミストの分析を読み解くと――。
コロナの変異型「XBB」急拡大で、毎週約6500万人が感染
報道をまとめると、中国国家統計局が5月31日に発表した5月の中国製造業PMI(購買担当者景気指数)は48.8(市場予想49.5)と、4月の49.2から低下し、好不況の分かれ目とされる50を2か月連続で下回った。
ゼロコロナ政策を打ち切った昨年(2022年)12月以降で、最低となる落ち込みを記録したことになる。
PMIの内訳をみると、「生産」が前月比で0.6ポイント低い49.6となり、1月以来の50割れとなった。「新規受注」も48.3と前月(48.8)から低下し、2か月連続で50を割り込むなど、世界経済の悪化による需要鈍化の影響が中国の製造業にも及んでいることを示す結果となった。
また、オミクロン株の派生型「XBB」ウィルスの感染が急拡大しており、中国の衛生当局者は5月23日、感染対策のフォーラムで、「6月末に感染第2波がピークに達し、毎週約6500万人が感染する」との見方を示した。6500万人といえば、日本の総人口(約1億3000万人)の半分だから、すさまじい勢いだ。
ゼロコロナ政策下でのさまざまな規制を完全に打ち切ったことが、裏目に出たかたちだ。
さらに、中国の金融機関が海外に融資した債権の焦げ付きも膨らんでいる、と報じられている。2020?22年の不良債権は768億ドル(約10兆7000億円)で、17~19年の4.5倍となった。中国は資金援助を通じて、広域経済圏構想「一帯一路」を推進。新興国に影響力を行使してきたが、世界的なインフレが新興国経済を直撃したため、回収できずにいる。
そうでなくても、中国の金融機関は不動産バブルの崩壊によって、国内でも多額の不良債権を抱えている。海外の問題債権を放置すれば、自国の金融リスクにも飛び火しかねない......。
といった状態で、内憂外患を抱える中国経済はどうなるのか。