最近は新規事業の立ち上げに向けた相談が舞い込む状況になってきました。
私の本業は人事領域ですが、前職では事業開発支援のコンサルティング事業を統括する責任者でしたので、それなりの取り組み実績があります。
事業の堅実性が求められたこれまでとは「大転換」!
そうしたご縁からお声がけをいただくのですが、産業構造的に閉塞感のある企業では高い危機意識で経営トップの号令のもと、1年に1つ以上は新規事業を立ち上げろとか、全社員が新規事業のアイディアを考えて、経営に提出すること...など、周囲が戸惑うくらいに新規事業のプランを求めているケースも出てきているようです。
先日、取引先の製造業では創業以来、新規事業のプランを考えることなんてやったことのない会社でした。
そんな会社の経営から連絡があり、社員が新規事業のプランを考えることの重要性を指導してほしい、とワークショップを行いました。対象は、部長クラスの30名。普段は現場を仕切る責任者が研修会場に介して、当方の講義を聞くことになりました。
その後は、グループ分けして、新規事業のプランを考えることになりました。が、壇上からみえる参加者が「現場の仕事を任せてきたが、心配だ」「新規事業のプランを考えることなんて、自分には無理」といった不安と疑問を抱えているのをありありと感じました。
同じような状況で社員に新規事業のプランを考えることが求められているケースは増えているように思います。別の会社ですが、新規事業のプランを社員が年に1つ考えて提出することになった会社の社員に取り組みに向き合う想いを聞いたところ、
「これまで、本業をしっかり行ってきた社員からすれば、どうしていいのかわからない。自分のやるべき仕事をしっかりやれば十分と指導されてきたので、ついていけない」
といった嘆きを聞きました。
この会社はコロナで業績が下降して、社員に堅実性を高く求めていました。いわゆる、自分の仕事をしっかり行い、収益を稼ぐ。経費は極力おさえることだけマネジメント受けていた、3年からの大転換です。
ついていけないと嘆く社員の気持ちはわかる気がします。もし、みなさんが同じような状況に巻き込まれたらどうするべきでしょうか?
新規事業も、will-can-mustのフレームで考える
まずは、いい機会と捉えて、取り組んでみるべきでしょう。会社が現場に期待している証です。可能な範囲でやってみる。
そのときに、就職活動やキャリア形成など目標設定におけるさまざまなシーンで活用されているwill-can-mustのフレームで新規事業のプランを考えてみてください。
Will:やりたいこと
Can:できること
Must:しなければいけないこと
これらの3つの要素がバランスよく含まれている枠内で新規事業を考えれば、自分で考えて当事者として関われます。しかも、自分がやりたいことですから、嬉しいことですよね。
なかでも、ポイントは「Will」。学生時代や職場での仕事を振り返り、「やりたいこと」や「夢」、「目標」などをあげてみましょう。
これに「Can」として自分と会社のできることをあげてみます。加えて、「Must」で「しなければいけないこと」として会社と自分が求められていることをあげてみましょう。
会社に関しては、いわゆる企業理念とかをこの機会に見返してみましょう。
こうしてあげていくと、実現可能でやってみたい、実現できたらいいなと思える新規事業のネタのようなものが、いくつかみえてくるはずです。
そのネタを掘り下げていくと、1つくらいはプランになるはずです。ぜひとも取り組んでみてください。(高城幸司)