海外勢の主力は欧州、伸びが著しいアジア、北米は低調
ところで、その海外投資家とは、具体的にどういう国々の投資家なのか。
三井住友DSアセットマネジメントのチーフマーケットストラテジスト市川雅浩氏によると、欧州勢が中心で、近年、アジア勢の伸びてきているという。
市川氏のリポート「海外投資家の地域別日本株売買状況」(5月25日付)のなかの年間の地域別日本株売買シェアの推移を見ると、欧州勢が最大の売買シェアを占めていることがわかる【図表1】。
市川氏はこう説明する。
「欧州のシェアは、2013年が59.4%でしたが、2022年には74.5%に達しており、この10年で緩やかながらも増加傾向にあります。また、アジアについても、シェアは2013年の9.4%から2022年は17.1%に増加しています。一方、北米のシェアは、2013年の30.8%から2022年は7.9%に減少しており、近年ではアジアを下回っています」
近年では、アジアの投資家の存在感が高まっているのだ。一方で、直近の今年3月と4月の海外投資家の月間地域別売買状況のデータに目を向けると、主に欧州勢とアジア勢が買い越していることがわかる【図表2】。
「海外投資家は4月に現物株を約2兆2000億円買い越しました。買い越し額が2兆円を超えるのは、2017年10月以来、5年半ぶりのことで、海外投資家の買いが、新年度入り後の日本株上昇の大きな原動力になったと考えられます。地域別にみると、欧州が約1兆7000億円の買い越しと、最大の買い手だったことが分かります」
こうしたことから、市川氏は今後をこう予想する。
「全体の売買金額の総計に着目すると、2013年は約670兆円でしたが、2022年は約1041兆円に増加しています。また、全体の売買金額も増加傾向にあることから、海外投資家は日本株の売買を増やしてきていると推測されます」