2022年4月に施行されて1年が経過した改正育児・介護休業法の趣旨に準拠した対応をされていない人が55.1%にのぼることがわかった。
また、改正法の効果やこれまでの少子化対策にあった、男性への両親学級の受講は6割にとどまり、受講した男性の4割の育休等取得率が80%を超えていた――。
特定非営利活動法人のファザーリング・ジャパン(東京都千代田区)が「隠れ育休調査」で判明した。2023年5月22日に発表。調査は、改正育児・介護休業法の施行から1年間の効果を検証するねらいから、昨年4月以降に生まれた子どもを持つ20歳以上の男性を対象に実施した。
いわゆる「隠れ育休」は、育児休業制度とは別に、有給休暇などを利用して産後の妻のサポートや育児のための休暇をいう。
「隠れ育休」減少も、取得率は増えている
調査によると、「妻の出産後に、妻のサポートや育児を目的に育児休業制度、または有給休暇や特別休暇(出産休暇など)を取得したことはありますか」との問いに、「隠れ育休」などを含む、何らかの休暇を取得した人は64%にのぼることがわかった。
ファザーリング・ジャパンは、2011年の47%、15年の49.6%、19年の52.6%と50%前後を推移していた育休等取得率の傾きが明らかに上昇トレンドに変化したと考える、と評価した。【図1参照】
また、休暇の取得方法の内訳は、隠れ育休の利用者数が12.7ポイント減って21.6%となり、育休制度利用者数が24.1ポイント増えて42.4%となった。
職業別でみても同様の傾向がみられることから、
「つまり、妻の出産後に妻のサポートや育児を目的とした育休等を取得する全体数そのものが増え、隠れずとも育休制度を利用しやすい環境へと大きく変化し始めた」
と、ファザーリング・ジャパンはみている。
さらに、地域別でみると、北海道43.8%、近畿地方の41.3%の順に育休等を取得していない一方で、中国地方は育休等取得が74.7%と最も高かった。年齢別では、25歳から49歳まで年齢が上がるにつれて、育休等を取得していない割合が増える傾向にあった。
世帯収入別でみると、1500万円未満から200万円以上と年収が下がるにつれて、育休等を取得していない割合が増えている。200万~400万円未満で47.5%、400万~600万未満で45.6%となっている。
ただ、「収入が低い=育休等を取得できない」とは言い切れず、他の要因も示唆される結果となった。