「今どき夫が妻子を養うなんてアリ?」。専業主婦の妻にフルタイムで働いてほしいと願う男性の投稿が、話題を呼んでいる。
子どもも大きくなったので、収入増のために共働きになりたいのだが、同居している妻の父親(義父)が「夫が妻子を養うもの」という「古風」な考え方の持ち主で、妻に働くことを許さないのだ。
妻も義父に同調、節約一辺倒で男性の小遣いを切り詰めるありさま。しかし、男性は義父の援助で家を建てたため、頭が上がらず何も言えない。
「義父にお金を返してから文句を言え」「イマドキのせいにするな。あなたの器が小さいから」。男性に対する風当たりは強い。妻に働いてもらうには、どうする? 専門家に聞いた。
「根本的な解決策は妻が働くことではなく、妻が夫の小遣いを増やすこと」
<「イマドキ夫が妻子を養うなんてアリ?」専業主婦の妻に共働き拒否された男性の投稿が炎上! 同居の義父に「家購入」援助されたことが仇に...専門家に聞いた(1)>および<「イマドキ夫が妻子を養うなんてアリ?」専業主婦の妻に共働き拒否された男性の投稿が炎上! 同居の義父に「家購入」援助されたことが仇に...専門家に聞いた(2)>の続きです。
――なるほど、星の数ほど夫婦のあり方があるということですか。川上さんならズバリ、投稿者にどうアドバイスしますか。
川上敬太郎さん「まずは投稿者さんご自身が、夫の収入だけで妻子を養わなければならないことが不満なのか、妻に財布を握られていることが不満なのか、夫が妻子を養うべきだとする義父の考え方が不満なのか......。
拡散している悩みの中核が何なのかを整理されたほうがいいように思います。そうしないと、解決する方法も見えづらいはずです。
たとえば、投稿に『妻にもフルタイムで働いて欲しい』とありますが、その理由は投稿者さんの収入が少ないからというよりは、投稿者さんが得ている収入を妻が思うように使わせてくれないことだと感じます。
だとすると、根本的な解決策は妻がフルタイムで働くことではなく、妻に投稿者さんが望む分のお金を使うことを承諾してもらうことではないでしょうか」
「妻はとても心配症で、将来に過度に備えようとしているのかも」
――たしかに、投稿者は「クルマは安い大衆車、外食は安いチェーン店、趣味も封印、友だち付き合いも皆無」と、「お金」がらみの不満を書いています。
川上敬太郎さん「お金が思うように使えない大きな要因は、妻が毎年行っている多額の貯金です。であれば、ナゼそこまで多額の貯金を行っているのか、妻の考えをとことん確認してみていただきたいと思います。
ひょっとすると、妻はとても心配症で、将来に過度に備えようとしているのかもしれません。あるいは、厳密に計算しているわけではなく、なんとなく不安を感じて貯蓄したいと考えているのかもしれません。その場合、将来本当に必要な金額をご夫婦で具体的に算出してみることで、お互いが納得できる貯金額が見えてくる可能性もあるかと思います。
もし、投稿者さんが月額5万円のお小遣いを必要だと感じ、現状が3万円なら差額は月2万円です。すると、2万円×12か月で年間24万円になります。いま年間300万円貯金していますから、24万円引いて276万円になっても十分な金額が貯金できると合意できるのかどうか。それは、必要な貯金額をきちんと計算してみないと結論が出ないように思います」
「夫婦お互いの頑張りをねぎらい、理解しあう努力をしよう」
――たしかに、妻はどんな貯蓄の方針を持っているのでしょうね。妻にはどんなアドバイスをしますか。
川上敬太郎さん「奥さんは、投稿者さんに毎年多額の貯金をしなければならない理由をきちんと説明したほうがよいと思います。その理由に納得感があれば投稿者さんとしても、快く貯金に協力しやすくなるかもしれません。
逆に、明確な根拠がないのであれば、投稿者さんの言い分も聞いたうえで、お互いが納得できる『身の丈にあった生活水準』のイメージをすり合わせ、共有してはどうでしょうか。目指す生活の姿が共有できれば、引き続き多額の貯金をするにせよ、しないにせよ、お互いに納得感があるはずです。
奥さんには奥さんの考え方があるのだと思いますし、日々家事や育児に頑張っているのでしょう。しかし、投稿者さんは投稿者さんで、しっかり働いて家族の生活費を稼ぎだしてくれています。お互いの頑張りをねぎらいつつ、理解しあう努力をしていただきたいと思います」
――ところで、義父にはアドバイスがありますか。
川上敬太郎さん「当然ながら、義父として娘である投稿者さんの妻のことを思い、守りたいという気持ちもあるのだろうと思います。ただ、投稿者さんは義父と同居しているだけでも気疲れしてしまううえに、お金の使い方や家計収入に対する考え方の相違でかなりのストレスを抱えている可能性があります。
ご自身の考え方を一方的に押しつけてしまうことにならないよう、娘さんと夫、お孫さんたちを含め、同居する家族全員が幸せを感じられるようにするにはどうすればよいかを考え、振る舞っていただきたいと思います」
『サザエさん』のマスオさんよろしく、ぜひ波平さんと仲良く
――イマドキ珍しい3世代同居、しかも、夫が妻の実家に住むケースですから、「投稿男性は、『サザエさん』のマスオさんだ」という意見もありました。ぜひ、波平(義父)さんたちと仲良くやってほしいですね。
川上敬太郎さん「そのとおりです。投稿内容を拝見する限り、とても気になるのは、投稿者さんも妻も義父も、大人たち全員が自分の考えを主張する一方で、お互いの考えを理解しようとしたり、ともにより良いあり方を模索しようとしたりする姿勢が感じられないことです。
大人たちがそんな姿勢では、家族の雰囲気はどこかギスギスしてしまうのではないでしょうか。投稿者さんのお子さんたちも、そんな様子を敏感に察しているかもしれません。そのような状態は、家族のあり方として決して望ましいとは言えないように思います。
人にはそれぞれ意志があり、人格も異なるのですから、考え方や価値観、意見の相違はあって当然です。そのうえで大切なのは、その違いをできる限り理解しあい、お互いに歩み寄り、共に幸せを感じられるよう折り合いをつけていくことだと思います。投稿者さんも妻も義父も、みなさんには、大人としてお手本となる振る舞いをお子さんたちに示してあげていただきたいと願います」
(福田和郎)