男性と妻では「身の丈に合った生活」のイメージがずれている
――論争にバックには、その義父の大きな存在があります。投稿者によると、義父は自分の娘(投稿者の妻)に働くことを許さないばかりか、「女は大学に進まず、早く結婚したほうがいい」という、「古風」な」考えの持ち主だと言います。
川上敬太郎さん「かつて、『夫が妻子を養うもの』という考え方が主流だった時代があり、その考え方が社会システムとマッチしていた頃は、その良し悪しは別として、上手く機能していたのだと思います。そのため、いまも同様の考え方を持っている人は少なくないのかもしれません。
ただ、それは夫である男性が妻である女性や子どもを養うという、性別役割分業の考え方です。家事や育児は妻である女性が行う、という考え方と表裏一体の関係でもあります。本来、仕事や家事育児の能力と性別は無関係です。性別に応じて家庭内や社会での役割を決めつける考え方は不自然であり、時代の変化とともに、どんどん合わなくなってきています。
また、いまや大学進学率では男女の間に大きな差はありません。女性だから大学に進まなくてよいとか、早く結婚したほうがいいという考え方もまた性別による不当な決めつけだと感じます」
――義父の考え方に染まっているのか、投稿者の妻は働こうとしません。「身の丈にあった生活で十分」と、貯蓄ばかり増やすことを考え、収入を増やすことを考えないと、投稿者は嘆いていますが、妻の考え方についてどう思いますか。
川上敬太郎さん「性別に関わらず、働きたいと思う人もいれば、思わない人もいます。ただ働こうとしないことだけを踏まえて、その良し悪しを判断することはできません。また、投稿者さんが働いて得た収入で、毎年300万円の貯金ができているようなので、必ずしも妻が働かなければ生活が成り立たないという状態でもなさそうです。
一方、『身の丈にあった生活』で十分かどうかも、『身の丈にあった生活』がどんな水準なのかは、人それぞれで感じ方が異なるものです。『身の丈にあった生活で十分』という考え方が間違っているというよりは、投稿者さんと妻とでは、生活水準のイメージが異なっている、ということではないでしょうか」