日経クロストレンドの「今後伸びるビジネスランキング」! 気になるキーワードは「クッキー代替技術」「生成AI」

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   ビジネスシーンではさまざまな新しいキーワードや概念が生まれているが、流れに乗り遅れないようにしっかりと意味を押さえておきたいところだ。

   株式会社日経BP(東京都港区)は2023年5月23日、マーケティングとイノベーションの専門メディア「日経クロストレンド」が作成した「トレンドマップ2023上半期」を発表した。それによると、ビジネスの将来性と経済インパクトの2軸を中心に、18項目以上の新規ビジネス用語を紹介している。

   ランキングでは、将来性のスコアで「チャットbot」が急上昇した。経済インパクトのスコアでは「Z世代」が伸び率トップになったほか、「空飛ぶ車」も急伸した。また、「クッキー代替技術」や「生成AI」などのIT関係で話題のキーワードも挙げられている。

  • ビジネストレンドに乗り遅れるな!(写真はイメージです)
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「VUI」「VHA」「クッキー代替技術」とは?

   この調査は2023年4月におこなわれた。調査では、日経クロストレンド編集部がマーケティング分野の29キーワード、テクノロジー分野の28キーワード、消費トレンド分野の31キーワード、合わせて88キーワードを選定。それぞれを認知する人に、そのキーワードの現時点での「経済インパクト」と「将来性」を5段階で尋ねてスコアリングした。

   「経済インパクト」の項目では、「1.どの企業も収益を得られていない」、「2.一握りの企業(1~2割程度)の収益に影響している」、「3.一部の企業(3~5割程度)の収益に影響している」、「4.大半の企業(6~8割程度)の収益に影響している」、「5.社会全体になくてはならない存在」の5段階で評価した。

   また、「将来性(=企業の収益貢献や社会変革へのインパクト)」の項目では、「1.将来性は低い」、「2.将来性はやや低い」、「3.どちらとも言えない」、「4.将来性はやや高い」、「5.将来性は高い」の5つの水準を用意した。

   さっそくランキングを見てみよう。結果は、以下の図のようになった。

(日経BPの作成)
(日経BPの作成)

   マーケティング分野の将来性1位は「音声SNS」となった。「音声SNS」とは、ライブ配信によるリアルタイムの音声配信を、ユーザー間が相互にフォローしたりコミュニケーションを取ったりしながら楽しめるサービスのこと。代表的なものとして、2021年にサービスを開始した「Clubhouse」や「Twitterスペース」といったサービスがある。

   つぎに、テクノロジー分野の将来性1位は「VUI(音声ユーザーインターフェイス)」だった。「VUI」とは、コンピュータと人間のやり取りを音声で行う操作方式。人がマイクに発話することで指示したり、システムからの応答を合成音声によって伝達したりするものだという。応用製品には、AppleのSiriやGoogleアシスタント、Microsoft のCortanaといった音声アシスタント。Apple HomePodやAmazon Alexaなどのスマートスピーカーなども該当する。

   続いて、消費トレンドの将来性1位は「越境EC」。「越境」とは国境やカテゴリの境目を超えることで、「EC:electronic commerce」とはネットを通じて企業が消費者に商品を販売するオンラインショッピングのこと。つまりは、「海外販売のオンラインショッピング」のことだ。Amazon、メルカリ、Gマーケットなどのマーケットプレイスが有名だ。

   次いで、マーケティングの経済インパクト1位は「クッキー代替技術」。これは順を追って説明すると、世界的な流れとしてプライバシー問題への配慮から、「サードパーティクッキー」(訪れたサイト以外のドメインから発行されたクッキー)を規制する動きが強まっている。サードパーティクッキーは主に広告で活用されていたが、企業はこれを使わずに広告配信やトラッキングを行う必要に迫られている。そのため、「クッキー代替技術」が注目され、たとえば「共通ID」などに関心が集まっている。

   経済インパクトのあるテクノロジーで1位となったのが、バーチャルヒューマンエージェント(VHA)。クーガー株式会社(東京都渋谷区)が開発を進めているもので、端的にいえば、人型AI。「人間」のような見た目で、インタラクティブな対話が可能なAIアシスタントということになる。

   また、消費トレンドの経済インパクトの1位は、おなじみ「Z世代」。1900年代後半から2000年代に生まれたこの世代は、スマホやタブレットを生活の中で当たり前に使いこなし、働き方の価値観やコストパフォーマンスへの意識の高さが特徴とされている。

   同編集部によると、ランキングの1位2位3位のワードは、前回調査の2022年10月の結果と比較しても高い伸び率を見せているという。

いま、注目のキーワードに「CX」「生成AI」「リベンジ消費」「リスキリング」

(日経BPの作成)
(日経BPの作成)

   一方で、今回の調査で新たに追加したキーワードは、マーケティング分野の「CX(顧客体験)」と、テクノロジー分野の「生成AI(ChatGPTなど)」、消費トレンド分野の「リベンジ消費」「リスキリング」の4つとなった。

   「生成AI」は、ChatGPTの登場で注目度があがっているが、国によっては規制の動きもあり、日本での動向が気になるところだ。

   「CX」――すなわち、カスタマーエクスペリエンスとは、顧客視点での体験という意味。製品やサービスの機能面などの「合理的な価値」だけでなく、購入するまでの過程・使用する過程といった「感情的な価値」を重視するというもの。CXを高めることによって、「この製品をまた使いたい」というファンを増やすことにつながる。そのため、CX戦略は重要テーマだ。

   「リベンジ消費」は、新型コロナウイルス感染症対策による行動制限からの反動で、消費者マインドに火が付き、旅行商品や高級商品の爆買いが起こる現象。ちなみに、昨今の情勢不安定や物価高を受けて、あまり起きていないという見方も。

   「リスキリング」は、新たな分野や職務での新しいスキルを学びなおしていくこと。新しい仕事に就くために、あるいは、今の仕事で必要とされるスキルの大幅な変化に適応するためには欠かせないものだ。

   これまでみてきた各種スコアの「2軸」を使って表にまとめると、「マーケティング分野」の場合は下図のようになる。

トレンドマップ2023「マーケティング分野」(日経BPの作成)
トレンドマップ2023「マーケティング分野」(日経BPの作成)

   同社はこうした各種ワードの伸び率から、以下のように分析している。

「将来性スコアの上昇率がマーケティング分野で高かったのが、0.39ポイント増の4.00となった『チャットbot』です。人間の指示に従って文章や画像などを自動生成する生成AI『ChatGPT』特需とも言える現象が、世界各国で起こっています。その流れを受けてチャットbotが改めて脚光を浴びていることが、本調査の結果でも裏付けられています」
「経済インパクトで前回調査より最も高い伸び率を示したのが、消費トレンド分野の『Z世代』(スコアは0.52ポイント増の3.64)。1990年代半ば以降に生まれた若者たちが、ファッションやコスメ、外食といった分野で消費のけん引役を担うケースが増えています。SNSの利用時間もミレニアル世代(1980年?90年代前半生まれ)に比べて2倍近く長いとされ、オフラインのみならずオンラインでも影響力が拡大していることが数字の上で裏付けられた格好です」
「テクノロジー分野では、『空飛ぶクルマ』(スコアは0.37ポイント増の1.88)が、伸び率で2位となったのが注目です。25年に開かれる国際博覧会(大阪・関西万博)では空飛ぶクルマの商用運航が予定され、23年2月に運航事業者5社が内定。そのうちの1社であるスカイドライブ(愛知県豊田市)が約150万ドル(約2億円)で個人向けの販売をスタートさせたことも話題になりました」
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