コロナ前と後で「新卒の就職率」はどう変化したか? 男子大学生の「就職希望率」は直近69.5%...ここ数年の横ばい続きは懸念(鷲尾香一)

建築予定地やご希望の地域の工務店へ一括無料資料請求

大学生の就職希望率は75.1%、上昇の兆しが見えず

   さて、2023年卒の大学生の就職率は総じて回復傾向にあるが、喜んでばかりもいられない。大学生の就職希望率が低下を続けているからだ。

   就職率は就職希望者の就職者の割合、つまり、就職率は就職希望者の中で就職が決まった人の割合であり、大学生全体に対する就職者の割合を示したものではない。

   就職希望率が低下しているということは、就職を希望する者が減少しているのだから、それに対する就職者数を表す就職率が上昇しても、大学卒の就職者数の絶対が増加しているわけではない点には注意が必要だ。

   大学生の就職希望率は、2018年卒が75.3%。その後、2020年卒の77.0%まで上昇したが、2023年卒は前年比1.0ポイント低下の75.1%となっており、上昇の兆しが見えない。つまり、2023年卒では、大学生のうち4分の1が就職を希望していないということだ。(グラフ5)

   大学生の就職希望率を男女別に見ると、特に男子大学生の就職希望率が低いことがわかる。男子大学生の就職希望率は2018年卒が69.1%で、2020年卒では71.2%まで上昇した。だが、2022年卒は70.4%、2023卒は69.5%と低下が続いており、上昇の兆しが見えていない。

   一方、女子大学生は2018年卒が83.9%で、2020年卒では85.0%まで上昇したが、2023年卒は82.8%にまで低下しており、こちらも上昇の兆しが見えない。(グラフ6)

   新型コロナ禍を乗り越えて、就職率が改善していることは喜ばしいことだが、大学生の就職希望率が低下を続けていることの問題点を洗い出し、対処していく必要がありそうだ。

鷲尾香一(わしお・きょういち)
鷲尾香一(わしお・こういち)
経済ジャーナリスト
元ロイター通信編集委員。外国為替、債券、短期金融、株式の各市場を担当後、財務省、経済産業省、国土交通省、金融庁、検察庁、日本銀行、東京証券取引所などを担当。マクロ経済政策から企業ニュース、政治問題から社会問題まで、さまざまな分野で取材。執筆活動を行っている。
姉妹サイト