ビアガーデンが全国で4年ぶりの盛り上がりを見せている。
2023年5月連休明けから、新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけが季節性インフルエンザと同等の「5類」に移行したことが大きな要因だ。
各店舗では席数をコロナ禍前に戻したり、2022年のようなパーテーションは取り外したりして、にぎわいの復活と客数増による売上アップを狙っている。
松屋銀座、テーマは「ミートパワー」 外国人観光客狙いの工夫も
全国のビアガーデンの大半は新型コロナの感染拡大が起きた2020年は中止を余儀なくされた。
その後、感染がやや落ち着いた21年と22年は再開の動きが徐々に広がったものの、人数を制限したり、あちこちに消毒液を配置したりするなど、さまざまな制限を設けながらの開催だった。
しかし、23年はガラッと様相が変わっている。
「4年ぶりに制約なく『フル開催』します」と大々的に呼びかけているのは、東京都中央区の銀座中心街にある百貨店、松屋銀座だ。
20年は中止に追い込まれ、21、22年は席数を大幅に制限し、客にはマスク会食を求めるなどの工夫をして何とか開催した。
しかし、23年は5月26日から「美しくなるビアガーデン」と銘打ち、席数なども19年と同じ水準に戻す。テーマは、肉(MEAT)と、これまで制限されてきた仲間との会合(MEET)をかけ、「ミートパワー」で、バーベキューのメニューをそろえている。
また、銀座に急速に戻ってきているインバウンド(外国人観光客)も取り込めるよう、予約なしでイタリアのスパークリングワインの飲み比べができるコースも新たに設ける。
5月から、各地で「屋上ビアガーデン」がオープン 予約で埋まる日もあるほどの盛況ぶり
大阪市の阪急うめだ本店も「ついに、コロナによる制限なしのビアガーデンが帰ってきます!」とPRする。
5月24日から屋上のビアガーデンをオープンした。本格的なスパイスカレーやジェラードなど30種類の食べ放題メニューが目玉だ。多彩な客に対応するため、ノンアルコールや微アルコール飲料も充実させた。
地方都市でもビアガーデンの動きは活発だ。群馬県高崎市の高崎タカシマヤでは5月17日から屋上ビアガーデンを開設。コロナ禍前の席数をほぼ回復し、400席を設けている。
4月からビアガーデンをオープンしている店もコロナが5類に移行した5月8日以降は、座席数を増やすなどして盛り上げを図っている。
名古屋市の名鉄百貨店の屋上ビアガーデンも5月8日から100席以上増やし、現在は668席で運営している。週末などは、すでに予約で埋まっている日もあるほどの盛況ぶりだ。
百貨店関係者は「ようやく本来の夏が戻ってきそうだ。家族や仲間と気兼ねなく思い切り楽しんでほしい」と話している。(ジャーナリスト 済田経夫)