地震、台風などの災害時には、被害調査の自治体職員よりも早く被災地に乗り込んでくる一団がある、といわれる。そう、悪質な業者のグループだ。
2023年5月5日に発生した、震度6強の石川県能登地方地震でも、さっそく被災地で被害相談が相次いでいるとして、国民生活センターが5月23日、災害に便乗した消費者トラブルに注意!-2023年石川県能登地方地震」という警告リポートを発表、地震に便乗した不審な訪問に注意するよう呼びかけた。
いったい、どんな手口なのか。
屋根の補修、数千円のブルーシートを10万円で売りつける
国民生活センターによると、石川県能登地方地震での代表的な手口はこうだ。
【事例1】自宅を訪問した事業者に「損害保険請求の申請サポートをする」と勧誘された
自宅を訪問した事業者から、「震度6強の場合に、損害保険からお見舞金が出る。受け取り方の紙だけを渡している」などと手書きで書かれたチラシを渡され、「損害保険金請求の申請サポートをする」と勧誘を受けた。
契約後、誤字脱字の多い書面で不審に感じ、知人に相談し、契約を取り消すことができたが、ほかの家にも個別訪問をしているようだ。(2023年5月・80歳代男性)
【事例2】地震の後、ブルーシートを高額で販売する事業者がいる
地震の後、ブルーシートを約10万円という高額で訪問販売する事業者が市内を巡回しているので情報提供する。(2023年5月・年代性別不明)
一般的な業務用ブルーシートの値段を通販サイトで確認すると、屋根を覆うことができる最大級の60畳の大きさ(約9.9メートル×9.9メートル)のものでも、税込みで3000円~9000円程度だから、かなり法外の値段といえるだろう。
こうした事例が相次いでいるとして、国民生活センターはこうアドバイスしている。
「突然の訪問でも、その場で契約せず、しつこく契約を迫る業者には特に注意しましょう。また、不審な電話があってもすぐに切り、来訪の申し出があっても断ってください。
『申請サポートをする』と勧誘をされてもすぐに契約せず、損害保険金の請求でわからないことがあれば、加入先の保険会社や保険代理店に相談してください。保険金の請求は加入者自身で行うことが基本です。
少しでも不安を感じたら、すぐにもよりの消費生活センター(消費者ホットライン『188』いやや番)や警察に相談してください」
後片付けを手伝いながら、高額住宅修繕を強要する「台風詐欺」に注意!
なお、地震もさることながら、これからは台風シーズンがやってくる。これまでのケースでは、台風の被害にあった地域では、「住宅修繕」詐欺師が横行することが珍しくない。
最初はボランティアを装い、壊れた住居の後片付けなどを手伝いながら、高額の住宅修繕を持ちかける。断ると、数人がかりで強い口調で契約を迫ったりする厄介な業者だ。
これまで会社ウォッチでは、何度も下記のように「災害詐欺」の記事を特集してきたので参考にしてほしい。
●「台風シーズン到来、被災地回る『住宅修繕』悪質業者にご注意! 『保険金使える』にはだまされないで!」(2022年6月21日付)
●「保険金を使ってタダで直してやる」 台風シーズン襲来!台風のあとに来るもっと怖い「住宅修理詐欺」にご注意(2020年10月6日)
(福田和郎)