損益別、黒字と赤字が拮抗「二極化」
早期・希望退職を募集した上場企業20社の直近の通期損益は、黒字と赤字がそれぞれ10社と分け合った。【円グラフ2参照】
黒字企業は、10社中7社が東証プライム市場の上場で、比較的規模の大きい企業に集中した。黒字企業のうち、増益、減益は各5社で、なかでも増益だった5社は、すべて東証プライム市場の上場で、ナショナルブランドを多く抱える大規模の「川上」産業が並んだ。
一方、赤字企業だった10社のうち、東証プライム市場に上場している企業は4社にとどまった。スタンダード市場の上場企業が5社、地方上場が1社と、比較的規模の小さな企業に集中した。
赤字企業を業種別にみると、競合の激しい情報通信、主力商品の需要が低迷する中堅の製造業、サービス業などが並び、実施企業の二極化が進んでいる。
国内の企業活動もアフターコロナのフェーズに入り、外食や宿泊などは人手不足が深刻さを増している。ただ、業況回復に時間を要する企業やコロナ禍から需要の反動減を迎えた企業を中心に、今後は小・中堅規模の上場企業で募集が増える可能性が出てきた。
また、募集人数(募集時点の人数が非開示の場合、応募人数を適用)をみると、最多は「30~49人」の5社。次いで、「100~299人」が3社、「1~29人」と「50~99人」がそれぞれ2社と続く。300人以上は、中外製薬の374人(応募人数)の1社にとどまった。【円グラフ3参照】
若干名(2社)を含め、募集人数100人未満の企業は11社と、半数を超えた。事業所やセグメントを限定した募集のほか、規模の小さい上場企業での募集が集中したことも影響した、としている。
なお、調査は希望・早期退職者募集の実施を情報開示(原則、「会社情報に関する適時開示資料」2023年5月15日公表分に基づく)して、具体的な内容を確認できた上場企業を対象に抽出(実施が翌年以降の企業は除く)。