公的資金返済には、1株7450円は必要なのに...「事実上、不可能」の見方
ただ、SBI新生銀の公的資金返済については、インターネット証券などを強みとするSBIHDの傘下に入っても、そのハードルはあまりに高い。
国が注入した公的資金は普通株に転換され、国は現在も新生銀株の約23%を握る大株主だ。同じように公的資金注入を受けたりそなホールディングスの場合、国は保有するりそな株を売却した利益で、公的資金を回収。売却益は公的資金注入額を大きく上回り、国は多大な利益を得た。経営再建を軌道に乗せ、株価も上昇させて、国に利益をもたらしたかたちだ。
これに対してSBI新生銀株は、株価が低迷したまま。国が保有する新生銀株をすべて売却して3500億円を確保するには1株7450円の株価が必要になる。にもかかわらず、現在の株価は2000円台で、開きはあまりに大きい。
SBI新生銀は長く、株価を7450円以上に高めて、公的資金を返済する方針を掲げてきた。
上場している以上、国という特定株主だけを優遇して、高値で自社株買いをするわけにはいかない。つまり、「株価7450円にするのは事実上、不可能」というのが市場の一致した見方。上場している限り、事実上、公的資金の返済もできないということになる。