イノベーションが生まれない! 世界45カ国調査...障壁になっているのは「ワークロードのための時間不足」、日本企業の場合は?

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   イノベーションが生まれやすい環境に、日本と世界で違いはあるのだろうか?

   デル・テクノロジーズ株式会社(東京都千代田区)が2023年5月15日に発表した世界45カ国以上従業員6600人を調査した「Innovation Index(イノベーション インデックス)」によると、過半数の企業・組織は、自社のテクノロジーは最先端でなく競合他社に追い抜かれる危機感を感じている実態が明らかになった。

   また、日本では、イノベーションへの最大の障害は「失敗を恐れる/アイデアが失敗したときの反響を恐れる」(45カ国中7位)という結果が判明した。

  • どうやったらイノベーションは生まれるのか?(写真はイメージです)
    どうやったらイノベーションは生まれるのか?(写真はイメージです)
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イノベーションを生み出す上位2グループ 世界18%、日本5%

   この調査は、世界45カ国以上、6600人の従業員(日本300人)を対象に、イノベーションがビジネスに不可欠な理由と企業・組織が効果的なイノベーションを実現するための人材・プロセス・テクノロジーをどのように活用すべきか説明したもの。

   デル・テクノロジーズでは、回答者を(1)「イノベーションリーダー(革新的企業・組織)」、(2)「イノベーションアダプター(導入企業・組織)」、(3)「イノベーションエバリュエーター(評価企業・組織)」、(4)「イノベーションフォロワー(支持企業・組織)」、(5)「イノベーションラガード(後進企業・組織)」の5段階の成熟度に分けている。

   はじめに、上位2グループ(「イノベーションリーダー」、「イノベーションアダプター」)の企業の割合は、全世界で「18%」、日本国内で「5%」となった。

   同社によると、これらのグループの特長として、組織の隅から隅までイノベーション戦略があるという。そのため、世界的な景気の後退や供給網の諸課題、環境への影響などのさまざまなリスクを回避し、継続的な成長を実現している。

イノベーション成熟曲線(デル・テクノロジーズの作成)
イノベーション成熟曲線(デル・テクノロジーズの作成)

   つぎに、上図の「イノベーション成熟曲線」を見てみると、上位2グループ(「イノベーションリーダー」、「イノベーションアダプター」)が、不況時に技術革新を促進させる可能性は下位グループの「イノベーションフォロワー」と「イノベーションラガード」と比べると、世界的には2.2倍となっている。なお、日本国内では4倍となるようだ。

   また、上位グループが、下位グループよりも、高いレベルの売上成長を経験する可能性が1.9倍(日本:2.9倍)あるという。

   調査結果を「人材」に基点を置いた技術革新の項目でみてみると、全世界の企業の「59%」(日本国内で49%)が「人材が辞めていくのは期待したほどのイノベーションを起こせなかったため」となっている。

   さらに、64%の企業(日本国内で54%)が「自社・自組織の企業文化のさまざまな側面が、自分たちの求める革新性の実現を妨げている」と回答した。

   さらに、企業・組織文化はリーダー層が先導すべきものだが、71%(日本国内で65%)が「自分のリーダーは自らのアイデアを優先する傾向がある」と答えている。そして、イノベーションを妨げる個人的な障害の上位には「失敗を恐れること、リーダーとアイデアを共有する自信のなさ」が挙げられている。

   また、「プロセス」に基点を置いたイノベーションの例でみてみると、「すべてのイノベーションの取り組みをデータに基づいて行っている」は、意思決定者の26%(日本国内で17%)に留まった。「イノベーションプロジェクトを自社の目標と一致させている」は52%(日本国内は42%)になった。

   同社では

「このようなプロセスと戦略の欠如が、イノベーションの優先付けに苦労している理由の一部になっていると考えられます。
チームにインパクトを与えるイノベーションへの最大の障壁として挙げられたのは、圧倒的なワークロード(仕事量や作業などの負荷)によるイノベーションのための時間不足でした。
ただし、日本は、この点を最大の障壁とは捉えておらず(45カ国中27位)、最大の障壁として挙げられたのは『失敗を恐れる/アイデアが失敗したときの反響を恐れる』(45カ国中7位)でした」

   とまとめている。

世界86%の企業がさらなるテクノロジー求める 理由は、競合に追い抜かれる恐怖

   最後に、「テクノロジー」に基点を置いたイノベーションの項目を見てみると、圧倒的多数(全世界86%。日本国内62%)の企業・組織はイノベーションの目標実現のためのテクノロジーを求めていた。

   逆に、全世界「57%」、国内「55%」の企業は自社・自組織のテクノロジーが最先端のものではなく、競合に後れを取ることを危惧しているという結果が出ている。

   さらに、ほぼすべての領域において、可能性を最大限に引き出すうえで最大の障壁となっているのは「複雑さ」であるという回答が挙がった。

   同社では

「例えば、クラウドプラットフォームやアプリケーション、ツールなどを組み合わせた結果として、偶然マルチクラウド環境に到達したという企業・組織の数が非常に多く、その複雑さが時間とコスト、またイノベーションの貴重な機会を失うことにつながっています」

   と解説している。

   同社はまとめとして

「ビジネスには『革新的なアイデア+テクノロジー=インパクト』という強力な公式があります。しかし、企業・組織には影響を与えるいくつもの依存関係があり、多くの場合、大きなひらめきの瞬間を待ち続けています。
さらに、小さな実用的なアイデアが大きな生産性、収益性、目的の実現につながる波及効果を生み出すことがある。適切なプロセスとテクノロジーを生かすためにも、人材・プロセス・テクノロジーの3つがそろって初めて価値が生み出されるのです」

   と説明している。

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