人事担当者「年齢は関係なく、本人のやる気を信じるしかない」
みんながモデルを見習ってくれればよいのだが――。人事担当者の悩みは尽きない。
人事担当者が実践している「55歳以上の社員」の課題解決に向けた対策を聞くと、モチベーションや成長意欲の向上につなげる施策や、年齢的な体力・集中力の低下などへの配慮を挙げる声が多かった。
「年2回ほど面談をして、コミュニケーションをとる」(男性・59歳)
「経営層との対話・コミュニケーションを密にする」(男性・53歳)
「年齢は関係なく、本人のやる気を信じて、常にどうするべきか方向性について話し合う」(女性・54歳)
「キャリア研修を開催している」(男性・54歳)
「定期的にセミナーを実施している」(男性・41歳)
「新しいことへのチャレンジや、変化への対応を要求している」(男性・58歳)
「職員の限界を勝手に決めず、できそうな業務はどんどん権限委譲していく」(男性・48歳)
「専門家に師事し、その内容を社内で講義をしてもらっている」(男性・45歳)
「無理せずに、今までの業務をこなしてもらうことが大切(男性・59歳)
「指示・命令系統を明確化し、こまめな声掛けをする」(男性・52歳)
このような、さまざまな工夫をこらしているようだ。
マンパワーグループの調査担当者はこうコメントしている。
「人事担当者の半数近くが『55歳以上の社員』に対して何かしらの課題を感じていることがわかりました。
課題の中では、『仕事へのモチベーションが上がらない/低下している」の割合が最も高く、『成長意欲を失って、周囲に悪影響を与えている』『社内の変化・改革についていけていない』などが続いています。
55歳以上の社員にはさまざまな課題がありますが、今後のキャリアに前向きに取り組めるよう、本人の意識を向上させることがまず重要であるといえるでしょう。
ミドル・シニアには、彼らが有する知見やノウハウを社内に伝承するなど、これまでとは異なる新しい役割が求められます。
キャリア研修などで、自分の強みや役割を再認識できる機会を提供することで、今後のキャリアと組織貢献を結びつけながらモチベーションを高めていくことができるでしょう」
調査は2023年1月、20~59歳の人事担当者400人にアンケートを行なった。(福田和郎)