少子高齢化が進み、ミドル・シニア層が社員の割合を大きく占める未来がすぐそこに来ている。2025年4月から高年齢者雇用安定法によって、すべての企業で「65歳までの雇用確保」が義務化される。
そんななか、総合人材サービスのマンパワーグループ(東京都港区)が2023年5月15日、「人事担当者に聞いた55歳以上社員の課題と対策」を発表した。
人事担当者から見た55歳以上の社員の課題は「モチベーションの低下」だという。ミドル・シニア層に活躍してもらい、会社を元気にさせるにはどうしたらよいのか。
大活躍のベテラン、周囲に悪影響のシニア...落差が大きい
マンパワーグループの調査は、企業で人事担当を務める20代~50代の男女400人が対象だ。
「55歳以上の社員に対する課題」について聞くと、全体の約3割が「55歳以上の社員はいない」(27.3%)と回答。さらに、「課題は特にない」(26.3%)と答えた人を除くと、人事担当として「55歳以上の社員」に何かしらの課題を感じている人は全体の半数近く(46.4%)にのぼった。
課題の中で(複数回答可)、最も割合が高かったのは「仕事へのモチベーションが上がらない/低下している」(17.3%)で、全体の2割弱を占めた。
続いて「マネジメントがうまくできない/マネジメント能力が不足している」(11.8%)、「成長意欲を失って、周囲に悪影響を与えている」(11.3%)、「社内の変化・改革についていけていない」(10.8%)、「若い社員との関係がうまくいっていない」(9.5%)などが上位に並んだ【図表1】。
一方、もちろん「55歳以上の社員」で活躍している人は多い。そういう人はどんないい面を持っているのだろうか――。
その特徴を聞くと(複数回答可)、「経験あるいはスキルを持っている」(38.5%)が最も高く、次いで「年代を問わずに関係性を築ける」(34.7%)、「物事や環境に柔軟に対応できる」(34.0%)、「向上心がある」(27.1%)、「マネジメント力がある」(24.4%)と続いた【図表2の緑色の棒グラフ】。
ベテランらしい信頼感と味わいがあるわけだ。なかには「職場のムードメーカーである」(15.5%)という評価もあった。人事担当者は、経験やスキルを持ち、対応力の高い55歳以上の人材が活躍していると感じているのだ。
そこで、改めて人事担当者に「55歳以上の社員に求めること」を聞いたのが、【図表2の青色の棒グラフ】だ。
これを見ると、上位には「経験豊富あるいは高いスキルを持っている」(36.1%)、「年代を問わずに関係性を築ける」(29.2%)などが並び、実際に会社内で活躍している社員の特徴とほぼ同様の結果となった。つまり、人事担当者が「55歳以上の社員に求める人材像」のモデルは身近にいるわけだ。