ビジネスパーソンの「転勤」意識...「良いイメージ」「悪いイメージ」の二極化へ 引っ越しの場合に「絶対に必要な支援」「あったら嬉しい支援」とは?

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   コロナ禍以降に出始めた言葉に「リモート転勤」がある。リモートワーク等の活用により引越しをせずに転勤のことで、ビジネスパーソンから好評を得ているようだ。

   Indeed japan(東京都港区)が5月18日に発表した「転勤に関する求人動向・意識調査」によると、同社ホームページで掲載している求人で「転勤なし」と掲載するものは増加傾向にあり、特に「アパレル」「スポーツ」「保険」「ドライバー」の仕事で25%を超えてきているという実態がわかった。

   また、「転勤」に良いイメージを持っているビジネスパーソンは「18.2%」、悪いイメージを持っている「25.9%」と二極化が進んでおり、一度転勤を経験した人ほどポジティブなイメージを持つ傾向が明らかになった。

  • 転勤ってどんな印象?(写真はイメージです)
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「転勤なし」の求人は増加傾向...「金融」「営業」は5年で20%弱の急上昇!

   この調査は、2022年から2023年にかけて、本人の同意がない転勤を廃止する制度や、リモートワークを基本として転勤や単身赴任を伴わない働き方を選択可能とする制度など、転勤に関する新たな制度を取り入れる企業の動きが出てきているなか、同ホームページ上で「転勤なし」に言及した正社員求人の動向を2018年1月から2023年4月の過去5年間を対象に調査したもの。

   なお、調査期間は2023年3月24日から4月5日まで、20代から50代で雇用形態が正社員または公務員の4480人を対象に人々の行動や意識の変化を調べた。

(Indeed japanの作成)
(Indeed japanの作成)

   はじめに、Indeed上で「転勤なし」について言及した求人の割合は、2018年から5年間で最大3.0倍にまで増加しているようだ。 特に直近1年間で大きく増加し、2022年3月以降は正社員求人の15%以上を占めているという。

(Indeed japanの作成)
(Indeed japanの作成)

   続いて、職種別にみてみると、「アパレル」「スポーツ」「保険」「ドライバー」では、「転勤なし」に言及する求人は25%を超え、5年間で増加傾向がみられる。

   一般的に転勤が多いとされる営業や金融を見てみると、営業は2018年に「8.3%」だったものが「23.1%」までに増加し、金融は「0.0%」から「19.9%」まで急上昇している。

転勤に対する意識調査はポジティブな人とネガティブな人で二極化の傾向 若い人ほどポジティブ?

(Indeed japanの作成)
(Indeed japanの作成)

   つぎに、転勤に対する意識調査を実施。20代から50代までの転勤に対するイメージは「どちらともいえない」が「45.4%」から「62.3%」で推移しており、多数派を占めている。

   一方で、良いイメージを持っている人は「18.2%」、悪いイメージを持っている人は「25.9%」と二極化が進んでいるようだ。

   年代別で見てみると、若い人ほど転勤に対して良いイメージをもっており、20代では「29.1%」(良いイメージ:6.5%、やや良いイメージ:22.6%)がポジティブにとらえているが、50代では「25.1%」(やや悪いイメージ:15.7%、悪いイメージ:9.4%)が悪いイメージをもっている。

   また、転勤経験者ほど、転勤に対するイメージがポジティブなようだ。

   引越しをともなう転勤経験者の「27.0%」が、全体より8.9ポイント高く、転勤に良いイメージを持っている。とくに、2020年4月以降に転勤した人に傾向が強く、41.3%(全体よりプラス23.1ポイント)が良いイメージを持っている。

   経験者が転勤をしてよかったと感じたことは、1位「通勤時間が減った」(21.2%)、2位「新しい環境で気分転換できた」(20.3%)、3位「良い経験を積むことができた」(18.2%)の順となっている。

(Indeed japanの作成)
(Indeed japanの作成)

   一方で、転勤者のライフステージと引越しのタイミングの問題もある。引越しを伴う転勤をしても良いタイミングを尋ねてみると、転勤をしても良いタイミングがある人のうち「入社して2~3年後」が「50.5%」で最多となり、次いで「子供が自立した後」が「40.4%」となった。

   今度は、引越しを伴う転勤をしたくないタイミングを尋ねたところ、「結婚直後」が「51.4%」で最多で、「子供が生まれる前」が「50.5%」という結果が出た。

(Indeed japanの作成)
(Indeed japanの作成)

   引き続き、直近の転勤について聞いた。遠方への転勤経験者のうち、「18.6%」が「リモート転勤」をしていることが明らかになった。このうち、「リモート転勤」経験者の「46.7%」は、転勤に対して良いイメージを持っている。

   企業の転勤に関する取り組みに対し、「61.0%」が「同意のない転勤を撤廃する制度」を、「55.0%」が「転居/引越しを伴う転勤のない人事制度」の導入を歓迎しているようだ。

   絶対に必要な支援は1位「引越し手当」(50.3%)、2位「転勤手当」(47.7%)。あったら嬉しい支援は1位「良い条件の住居」(19.1%)となった。

   こうした調査結果に対してIndeedエコノミストの青木雄介氏は以下のようにコメントしている。

「保険や営業、金融など従来転勤が多かった、あるいは、転勤があるイメージの強い職種において、「転勤なし」の訴求が顕著に増加していることが注目されます。職種内の人材獲得競争だけでなく職種間の競争もあり、求職者から転勤があるイメージを持たれることで選択されない状況を避けるべく、企業は転勤に対する取り組みを一層重視していると考えられます。
労働者側の転勤意向については、転勤を肯定的に捉える労働者と回避したい労働者で二極化の傾向が見られます。
転勤がない職場においては、「転勤がない」こと自体が、転勤を回避したい労働者にとって企業選びのポイントになっているため、求人内で言及することは引き続き有効であると考えられます。
転勤がありうる職場においては、転勤のメリットやその際の手当・福利厚生、あるいは制度(例:「同意のない転勤の廃止」など)について丁寧に情報伝達することが、労働者のエンゲージメントや求職者の関心を高める上で重要となってくるでしょう」
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