小中学校教師の「働き方改革」進んでいるのか? 一見、在校時間は減少傾向にあるが...(鷲尾香一)

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在校時間が減少している半面、持ち帰り仕事の時間は増加

   平日の教諭の在校時間の減少は、小学校では学校行事が11分、成績処理が8分減少していることが大きい。一方で、主担当の授業は7分、朝の業務と学習指導は6分の増加となっている。

   中学校では学校行事が12分、学年・学級経営が10分、集団での生徒指導が8分減少し、主担当の授業が11分、朝の業務が7分増加している。

   これが土日になると、小学校では主担当の授業と学校行事が5分減少、中学校では部活動・クラブ活動が40分、学校行事が8分減少している。

   つまり、平日の在校時間の減少は、小中学校とも学校行事時間の減少、土日は中学校の部活動・クラブ活動時間の減少によるところが大きい。

   だが、在校時間が減少している半面、持ち帰り仕事の時間は増加している。2016年度との比較では、在校時間は小学校で30分、中学校で31分減少しているが、持ち帰り仕事時間は小学校で8分、中学校では12分増加しており、実質的な時間減少は小学校で22分、中学校で19分にとどまっている。(グラフ5)

   働き方改革が最も遅れている仕事の一つと言われるのが、教師など学校教育の関係だ。2016年度との比較では、わずかながら在校時間が減少しているが、その要因は学校行事や部活動・クラブ活動時間の減少によるもの。

   2022年は新型コロナウイルス感染拡大による行事や部活動などへの影響が残っており、教師など学校教育関係者の働き方改革が進んでいると言えないのが実態だろう。

鷲尾香一(わしお・きょういち)
鷲尾香一(わしお・こういち)
経済ジャーナリスト
元ロイター通信編集委員。外国為替、債券、短期金融、株式の各市場を担当後、財務省、経済産業省、国土交通省、金融庁、検察庁、日本銀行、東京証券取引所などを担当。マクロ経済政策から企業ニュース、政治問題から社会問題まで、さまざまな分野で取材。執筆活動を行っている。
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