LINEをビジネスに導入 絵文字はOK、スタンプはNG
チャットをビジネスに導入する最大の目的は、ビジネスの圧倒的な高速化だ。
たとえば、現場作業で判断に迷ったときに、詳しく報告しながら、アドバイスをもらう。客先で、想定外の依頼があったときに、誰かに尋ねて、その場で解決する。目指す効果は、「仕事のフットワークをよくすること、業務の精度向上」にある。
あえて一般消費者向けのLINEを選ぶのは、すでに従業員の多くが利用者だからだ。
最初の社内ルールは、すべてのメンバーが問題なく、操作できるようになったら、社内のやりとりは、原則チャットを使う(電話は禁止)、これまでメール連絡だったものをチャットに切り替えるなどだ。返答は、就業時間内とすることも大切だ。
チャットですること・しないことを挙げている。要件のみ短文が原則、絵文字も感情を表すので歓迎。既読になっても回答を求めない、スタンプは多用しない、などだ。
一般消費者向けのLINEでスタートし、安定したら、管理機能のあるLINE WORKSへの移行を勧めている。まったく別のアプリだが、ビジネスチャットが備えている管理機能も、フリープランで利用できる。
名刺管理アプリはいろいろあるが、個人版無料のCamcard Liteの一択だという。人脈管理システムのつくり方を具体的に説明している。
日本では無料の入力代行サービスをしている会社もあるが、中村さんは、自分で使いこなすべきデータベースは、自分で正しく入力してこそ意義がある、と考えている。世界では圧倒的にCamcardが優勢だという。
このほかに、書類の簡単電子化に使える無料のカムスキャナーの使い方、Zoomによるテレビ会議についても取り上げている。
「セキュリティーは使い始めた後に考える」と割り切り、IT化に検討すべきセキュリティー対策にも触れている。
「小規模事業者のIT化は日本の最大の課題」という中村さんの考えに共鳴した。各ツールのパソコンとスマホでの操作法を図解しているので、マニュアル本としても活用できる実用的な本だ。(渡辺淳悦)
「今日からできるスマホと無料ツールで小さな会社こそIT」
中村太陽著
日本橋出版
2420円(税込)