ストレスなく転職活動するには?...「順番」を変えるとうまくいく!

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   転職して、この春から新しい職場で働いている、という人も少なくないことだろう。日本では年間約800万人が転職を希望し、実際に転職するのは約300万人だという。残りの約500万人は、転職を希望しながら、転職をあきらめている。

   本書「ゼロストレス転職」(PHP研究所)は、順番を変えるだけで、転職活動はラクに勝てるノウハウを説いた本だ。「こうしなければ、転職できない」という思い込みを捨てると、転職は誰にでも出来ることがわかるだろう。

「ゼロストレス転職」(佐野創太著)PHP研究所

   著者の佐野創太さんは、慶応義塾大学法学部を卒業。2012年にパソナグループに入社し、転職エージェントとして従事。その後、介護離職をきっかけに日本初の退職学の研究家として独立。1200人以上のキャリア相談を有料で行い、「ワケあり人材」が一目置かれる人物として入社する「ゼロストレス転職」を開発。著書に「『会社辞めたい』ループから抜け出そう」がある。

転職活動で内定が出ない人の「思い込み」とは?

   内定が出ない人は、次のように転職活動するものだと思い込んでいるという。

・何十社も応募して数で勝負する
・誰にも負けない強み、すごい実績をひねり出す
・履歴書と職務経歴書だけで自分の魅力を伝え切る
・転職エージェントは、どんな求職者にも平等なパートナーである
・面接では、自信満々に話せるかどうかで合否が分かれる

   本書は、これらの思い込みを以下のように否定している。

・たくさん応募すると一社当たりに割く時間も労力も減ってしまい、かえって内定率が下がるので、数社に集中すべきである
・誰にも負けない「強み」や、すごい実績はいらない。必要なのは「再現性」である
・履歴書と職務経歴書以外にも、書類は提出していい。むしろ、「プラスアルファの資料」の提出が欠かせない
・転職エージェントは、どんな求職者も平等に扱うわけではない。「最高の求人を運んでもらう方法」を知っている人と、そうでない人の間で差がうまれる
・面接は、口がうまい人が勝つわけではない。「面接官を誘導する」「資料に語らせる」ことで、口下手でも内定はもらえる

ゼロストレス転職の順番とは?

   佐野さんが提唱する「ゼロストレス転職」と普通の転職では、手順が違う。

   普通の転職の流れはこうだ。

   転職エージェントや転職サイトに、とりあえず登録する→自己分析を始める→転職サイトで企業を探して分析する→履歴書や職務経歴書を作成する→ネットでノウハウを検索して面接対策をする

   これに対し、ゼロストレス転職は次のような順番で進める。

   自分の中にすでにある強みと出合い直す→働きやすい企業を見つけ、自分に相応しい企業をリストアップ→履歴書・職務経歴書の他にプラスアルファの資料を作成する→転職エージェントに「本気」の登録をする→気持ちの余裕を作る「面接の赤本」「面接官の性格分析」を用意する

   普通の転職では、何の準備もしないまま転職エージェントや転職サイトに登録するため、簡単に始められる。しかし、選考が進むほど、準備不足がたたって苦しくなり、結果的に長引いてしまう。内定が出ても、「本当にこの会社でいいのか?」と悩むこともある。

   一方で、ゼロストレス転職は短期集中だ。「転職の準備」に集中し、選考が進むごとにラクになっていくという。内定が出た会社には「探していた企業が見つかった」と納得して、転職活動を終えることができる。

   本書の構成は、「転職の軸になる『強み』の見つけ方」「働きやすい職場が見つかる『企業分析』「すごい実績はいらない!『応募書類』の書き方」「『転職エージェントガチャ』を回避する方法」「緊張をゼロにする『面接の準備』」となっている。どれも実践的な内容で参考になる。

   たとえば、強みは「見つけない」。

   すでにあなたの手の中にあるからだ。仕事以外の経験も武器になる、というアドバイスに勇気づけられるだろう。

企業が求めるのは「再現性」

   また、すごい実績以上に大切なのは「再現性」だという。

   企業が求めているのは、「募集ポジションに近い経験」だ。言い換えると、「あなたのこれまでの経験で、入社後も発揮できる能力は何ですか?」という問いに対する答えだ。

   だから、志望動機の答えは決まっている。志望動機とは、「企業に利益をもたらす行動」を答えること。企業が目指す未来に共感し、そのために貢献できることを自分の経験の中から見つけると、スラスラと書けるようになるという。

   職務経歴書を書く場合も、求人票の仕事内容を読み、それを再現する経験を職務内容にまとめる。履歴書と職務経歴書以外の「プラスアルファの書類に9割の力を注げ」というアドバイスも貴重だ。どんな資料が役に立つか、本書を読むと納得するだろう。

   面接も緊張する必要はない。

   面接官の性格は「炎・水・祭り・森」の4タイプに分けられるという。面接官の鏡になることで、「類似性バイアス」がかかり、好意的に評価される。

   このほかにも、参考になるアドバイスが満載だ。転職を考えている人に一読を勧めたい。(渡辺淳悦)

「ゼロストレス転職」
佐野創太著
PHP研究所
1815円(税込)

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