私が、書籍紹介をはじめたのは2010年にさかのぼる――。
「世の中に埋もれている優れた本を発掘すること」を目的としているので、著名な人でなくても紹介している。掲載基準は「世に問いたいテーマが明確であること」。これまで1万冊以上を多くのサイトで紹介してきている。1万冊以上を紹介してきた人は稀有な存在ではないかという自負もある。
私自身も21冊の著者ではあるものの、冊数を重ねる前は書籍を紹介する場所がわからずに苦労をした経験がある。そのような時に、後押ししてくれる存在は有難いものだ。
「頭がいい人の読書術」(尾藤克之著)すばる舎
音声SNS「Clubhouse」の人気番組で、MCから質問攻めに
今回、元FM802アナウンサーで、現在フリーナレーターとして活動している、下間都代子さんが主宰するClubhouse(音声SNS)の「耳ビジ★耳で読むビジネス書」に出演してきた。4000名近いリスナーを抱える人気番組でもある。
本番組が興味深いのは、一冊を月曜日~金曜日の5日間にわたって紹介することや、著者とのトークのなかから表面では見えにくい本音をあぶり出す点にある。今回は、拙著「頭がいい人の読書術」が取り上げられた。これは、2020年の作品だ。紹介させていただくと、中国語翻訳本は「amazon中国」で総合1位になるなど話題作にもなった作品である。
私は元議員秘書でコンサルティング会社、上場企業やいくつかの事業会社での役員経験があるが、必要以上の情報は掲載していない。とくにプロフィールを盛ることもしていない。
そのせいか、番組がはじまると、下間さんがキレッキレのトークで掘り下げていく。「尾藤さんが本を読むようになったきっかけを教えてください」「いつ頃から本を読むようになったの?」「その時はなんでそう思ったの?」......
本を読むようになったのは、小学校2年生にさかのぼる。私は50余年前に1600グラムという超未熟児で誕生した。小学校低学年の頃は、小児喘息の影響で体が弱く、体育の授業は休みがちだった。それを心配した母親が読書をはじめさせたのである。
小学校の夏休み(当時の中野区)が42日間あった。毎日読了し読書感想文を書いていったら夏休みが終わる頃には42枚(42冊分)になっていた。読書感想文を書いた後にもらえるお駄賃を握りしめて、近所の本屋に駆け込むのが至福の時間だった。
二学期のある日、突然校長室に呼ばれた。頭をなでられて褒められ、中野区の展示会に出展され、優秀賞が授与されたのだ。次に、都展(東京都の展示会)に出展することになったが、結果的に、読書感想文は戻ってこなかった。返してほしいと言ってもはぐらかされてしまった。担任からは教育委員会で評判となり研究材料になったと聞かされた。
小学校4年生の頃から、毎日牛乳を飲みだしたところ(1日2リットルくらい)、急激に身長が伸び出した。中学3年で180cmを超え、いまでは185cmの高身長を維持している。
私にとっては他愛もない話だが、これがリスナーの評判になった。こんな話がウケるのかと、あらためて驚いた。だが、これを引き出したのが、下間さんのインタビューテクニックということになるのだろう。新たな読者層の存在が実感できるようになった。
読書の面白さとは何なのか? どう読むといいか?
私は、何を読むかより、何を読まないかを決めることが大事だと考えている。ベストセラーや流行本の類は、好んで読まない。流行の本を読んでいると、みんなと同じ発想しかできなくなるからである。人の思考は、読むものからできていると考えている。
小学校時代には、ライトノベルズにはまり手当たり次第に乱読したことがある。内容が理解できない本もあったが、新しい知識に触れて満足だった。その影響もあり、小中高、国語(現代国語)の成績が群を抜いていた。本を読むと読解力がアップすることは間違いない。
もちろん、ベストセラーや流行本は時代をつかむうえで役立つこともある。ベストセラーはやはり面白いし、好きな方は楽しみとして読んでもいいだろう。ただし、成長という観点からは、なるべく他の人が読まないような本を読むことをおすすめしたい。
また、読書の際には、著者の立場に立って読むこと。相手の立場に立って考えること、つまり、「著者の立場になりきって読む」ことが大切だと考えている。
小説にしても読み方や解釈は読者の自由。著者の狙いがすべての読者に伝わるわけではない。本の読み方に「正解」はなく、それでも、著者に寄り添い感じながら読むことで自分なりの解釈が生まれてくる。これをアウトプットするこことで、学びが深くなる。いろんな角度から、本を楽しんで読めば、速く、深く、読むことができるはずだ。
話は変わるが、私がよく利用しているSNSはツイッターだ。一応、3万人以上のフォロワーがいる。アメブロは公式ブログで4000名以上、noteは2000人程度である。一方、Clubhouseは数十人である。そのため、これまでは音声SNSの価値が理解できず、興味を持てなかった。
しかし今回、「耳ビジ★耳で読むビジネス書」に出演してわかったのは、人気のある番組ではリスナー同士のコミュニケーションが活発であることだ。さらに、番組をダラダラ流しているものではなく、メリハリが効いている。はじめて、Clubhouseの面白さを実感した。
今回は、Clubhouseの「耳ビジ★耳で読むビジネス書」に着目した。今後も、出版業界における新しい取り組みなどがあれば、随時紹介していきたいと考えている。(尾藤克之)