就活市場で人気のコンサルは、こんな仕事をしている!

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   東京大学など難関大学の学生の間で、コンサルティング業界の人気が高いという。ところで、そもそもコンサルティングとはどのような仕事か? コンサルタントはどのようなキャリアを歩むのか?

   そうした疑問に答えてくれるのが、本書「コンサルティング業界のしくみとビジネスがこれ1冊でしっかりわかる教科書」(技術評論社)である。中途採用を希望する人にも参考になるだろう。

「コンサルティング業界のしくみとビジネスがこれ1冊でしっかりわかる教科書」(コダワリ・ビジネス・コンサルティング株式会社著)技術評論社

   著者は、コダワリ・ビジネス・コンサルティング株式会社。代表取締役社長の大谷内隆輔さんは、大手外資系コンサルファーム出身。2009年に同社を設立。大企業を中心にコンサルティングサービスを提供しているほか、コンサル向けの転職支援事業や教育事業も行っている。

コンサルティングの7つの領域とは?

   コンサルティングは、企業が抱えている経営課題を突き止め、解決するのが役割だ。コンサルティングの対象やテーマはさまざまだが、領域は以下の7つに分類されるという。

1 戦略コンサル 中長期経営計画やグローバル展開戦略の策定支援などを行う
2 ビジネスコンサル クライアントの業務改革(効率化)や売上向上支援などを行う
3 ITコンサル IT戦略の策定からシステム導入などの実行支援などを行う
4 組織・人事コンサル 人事評価制度や最適な組織設計などを行う
5 FAS(ファイナンシャル・アドバイザリー・サービス)コンサル M&A(合併・買収)などを支援する
6 事業再生コンサル 立て直しが困難な企業、事業に対して再建および健全化を支援する
7 シンクタンク領域 政府や官公庁向けにリサーチ・分析・提言を行う

   コンサルティングのプロジェクトチームは、目的に最適な人員のみで構成される。役割をまっとうできなければ、プロジェクトをリリースされることもある、厳しい側面もある。

   新卒や未経験者も戦力として配置されるが、一定の成果を要求され、成長曲線も問われる。自己学習やスキルの研磨が常に求められる。

   プロジェクトはいくつかのフェーズで進行する。

   大まかに目標設定、計画策定、実行の3段階に分けて管理を行う。そのためにプロジェクトマネジメントを担う人がおり、プロジェクト計画やWBS(Work Breakdown Structure)が書かれたドキュメントを作成する。

   WBSとは、作業を分解して構造化することだ。これは、ゴールに対して、細かく構造化し、タスク化する。おおむね3段階程度まで掘り下げた構造にし、その最小単位のタスクの中で、方針・工数・誰が実施するかを自明にして、マネジメントしやすい形態にする。

コンサルタントの職位とは?

   コンサルタントの職位は、どうなっているのだろうか。

   コンサルタントのトップの「パートナー」の平均年齢は40代。そして、大型案件の担当となる「ディレクター」は40歳程度。プロジェクトの進行・管理を行う「マネージャー」は20代後半から30代。プロジェクトの現場リーダーとなる「コンサルタント」は20代。また、「アナリスト職」は新卒や中途採用社員のスタートとなる職位だ。 アナリスト職は修業期間のイメージだが、成果に対する期待値は高いという。ミーティングの議事録作成、クライアントにインタビューしながら業務フローの作成、課題を整理しての対応策の検討などを行う。

   主要各社の初任給を載せているが、年収約430万~700万円と専門領域によって相場が異なるようだ。他業界と比べ、昇給スピードも早く、20代後半で1000万円超も珍しくない。

   若手コンサルの1日の時間の使い方の例を紹介している。議事録の作成やミーティングに使う資料の準備などに追われる日々だ。それとともにプロジェクトとは関係のない分野の勉強もしているようだ。

   コンサルタントに求められる4つのマインドを挙げている。

1 本質思考・成果主義 仕事の本質的な目的を理解し、全体像を把握。
2 プロフェッショナリズム 高い向上心で日々その知識・スキルを磨き続ける
3 クライアントファースト 常に、クライアントの期待に応えるために何をすべきか考え続ける
4 メンタル・シンキングタフネス 高いプレッシャーにも耐えられる「精神的なタフさ」や、難題に向き合い続けられる「思考的なタフさ」が必要

   コンサルタントは、ロジカルシンキング(論理的思考)をベースとして物事を考えている。そのために必須となる、要素を構造化する「ロジックツリー」や、ロジカルに物事を伝えるため、結論から話す「アンサーファースト」や事実を明確にする「ファクトベース」について本書では説明している。 また、「情報収集」「内容の構造化・目次化」「作成・推敲」「第三者レビュー」の流れからなる、効率的なドキュメントのつくり方も参考になるだろう。

コンサル人気は続くのか?

   コンサル業界に就職してからのミスマッチを防ぐために、なぜコンサルなのか、何をしたいのか自己分析をしたうえで、知名度だけで判断しないことも大切だ。インターンで判断材料を得ることを勧めている。

   コンサルに向いている人の3つの資質として、好奇心があること、精神・体力のタフネス、コミュニケーション力を挙げている。

   新卒採用と中途採用のそれぞれのプロセスと評価されるポイントも解説している。よくある転職例を見ると、前職の業界や仕事もさまざまなようだ。社会人経験年数が長いほど、経験・スキル・専門性が重視されるという。 第6章は主要なコンサルファームについて、基本的な情報を掲げるとともに、私見を述べている。コンサル業界の最新ニュースやトレンドを発信するメディア「コンサルのあんなこと、こんなこと」を著者は運用しているので、これも参考になるだろう。

   他業界からの発注ありきのコンサル業界は、日本経済の停滞に伴い、先行きは決して明るくないという。しかし、IT・デジタル関連の市場規模は拡大すると見ており、コンサルのニーズはますます伸びていくとともに、仕事の内容も変わるという。

   就活市場におけるコンサルの人気は続きそうだ。(渡辺淳悦)

「コンサルティング業界のしくみとビジネスがこれ1冊でしっかりわかる教科書」
コダワリ・ビジネス・コンサルティング株式会社著
技術評論社
1760円(税込)

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