12月に日経平均3万4000円あるか? その前にある「相場過熱」の危機
ところで具体的に、日経平均株価はどこまで上昇するのか。過去の値動きから数学的に分析して数値を割り出しのが、三井住友DSアセットマネジメントのチーフマーケットストラテジスト市川雅浩氏だ。
市川氏はリポート「テクニカル分析で考える日経平均株価の上値目途」(5月18日付)のなかで、日経平均株価の上昇トレンドを表わすグラフを示した【図表5】。
そして、日経平均株価はここ10年、ほぼ「上値抵抗線」(青線)と「下値支持線」(同)に挟まれるかたちで、2本の平行線の間で推移してきたという【再び図表5】。
このことから市川氏はこう予測する。
「過去の推移をみると、日経平均は下落局面で下値支持線に支えられ、上昇局面で上値抵抗線にはばまれている様子がうかがえます。この先、下値支持線と上値抵抗線は、6月末でそれぞれ2万7250円と3万3550円、9月末は2万7700円と3万4000円、12月末は2万8150円と3万4450円に位置しています」
ということは、12月末には3万4000円台半ばまで上昇する可能性があるということなのか――。しかし、市川氏は慎重だ。
「日経平均はここ数日で、急速に水準を切り上げてきたこともあり、過熱感が高まっています。実際、相場の過熱感を判断するオシレーター系チャートを確認すると、日経平均の『RSI(相対力指数)』の数値は、5月17日時点で76.8%となっており、一般に買われ過ぎとされる70%を超えています。そのため、日経平均が目先、調整売りに押される展開も十分に想定されます」
また、国内の景気の行く末、世界経済の減速もリスク要因だ。市川氏はこう結んでいる。
「今後は、インバウンド需要の回復が続くか、日銀の金融緩和姿勢に変化がないか、国内企業に成長持続のための構造改革を進める動きが広がるか、賃上げの流れが続くかなどを見極める必要があります。また、米国をはじめとする海外景気が大きく冷え込むことはないかなど、国外要因も、日経平均の長期上昇トレンド継続のための重要なポイントと考えています」
(福田和郎)