建設、運輸、小売り、不動産、卸売り...依然厳しい状況 「安定的に人材確保できる基盤づくりが急務」
「人手が不足している要因」について、業界別で全体より10ポイント以上高かった項目を見てみよう。
建設業では「業界の人気がない」(64.1%、全体比プラス18.7ポイント)や、長時間労働などを含む「労働環境が厳しいと受け止められる」(58.8%、プラス21.6ポイント)などの割合が高くなった。
2024年問題が差し迫っている運輸業。倉庫業では「時間外労働の上限規制や休暇取得の義務化など働き方改革の逆作用」(32.6%、プラス18.8ポイント)のほか、「業界の人気がない」(69.8%、プラス24.4ポイント)、「労働環境が厳しいと受け止められる」(62.8%、プラス25.6ポイント)などが目立つ結果になった。
今回の調査に同社では、次のように総括している。
本アンケートの結果、『人手が不足していない要因』では、「賃金や賞与の引き上げ」が5割を超え、最も高かった。
次いで、「働きやすい環境」「定年延長等」が3割を超えて続いた。
他方、『人手が不足している要因』では、「条件に見合った人材から応募がない」が最も高く、5割を超えていた。
次いで、「業界の人気がない」「企業の知名度が低い」が4割台で続き、「厳しい労働環境」「賃金水準」が3割台で並んだ。
人手不足感の上昇に歯止めをかけ、人材確保や人手不足の解消に導く最も重要なカギは「賃上げ」であると考えられ、それを実施しやすい環境の整備が必要であろう。
賃上げ以外にも「成長・安心できる職場」や「働き方の多様性」など、人材確保・人手不足解消の7カ条をバランスよく取り組むことが重要になる。
特に「運輸」「建設」などの業界に関しては、人手不足がインフラ整備や日常生活に多大な悪影響を与えることが考えられるため、賃上げに加えて、企業間の価格転嫁を促す対策のほか、リスキリングなどによる人材の成長や労働環境、生産性向上に関する公的支援などを通じて、安定的に人材を確保できる基盤づくりが急がれる。