高級車販売の「トップ営業マン」が売ったあとも、とある「お土産」持参で購入者を訪問する理由(大関暁夫)

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「紹介者の推薦」には絶大な信用力がある!

   彼の主なお客様は、会社経営者やその奥様方です。彼のお客様の一人である中小企業の社長にも、こんなお話をうかがいました。

「ゴルフやら飲み会やらで、同じ企業経営者の人たちとご一緒する機会が多いのですが、車の話はよく出ます。なぜ私の車がベンツじゃなくてレクサスなのか、と聞かれることも多く、そんな折に一度試乗してごらんよ、とレクサス営業の彼を紹介するわけです。あとは、彼が上手にやってくれるのでしょう。とにかく彼の営業は気持ちがよく、良い車を紹介してくれたという満足感が得られます。知り合いからは、いい営業マンを紹介してくれたと感謝されることも多いです」

   この社長に限らず、紹介先の方々は同じような生活水準の人たちが多く、気がつけば手元には富裕層の一大顧客リストが出来上がっていたというわけです。彼の営業成績は新規の紹介案件ばかりでなく、紹介で取引が始まった方々の次なる買い替え需要も加わってくるので、黙っていても毎月コンスタントな営業成績が得られていた、ということなのでした。

   紹介案件は同じ新規営業活動でも「紹介者の推薦」という信用力がそのバックにあるので、一般的な新規推進営業よりも、圧倒的に成約に至る確率が高くなります。特に法人取引の場合には、その信用力はさらに強く作用する傾向にあります。

   親会社や主要受注先から紹介された営業マンであれば、紹介を受けた側もそれなりの気遣いを持って接してくれることは確実ですから、成約の確率が高くなるわけなのです。

   このように、成約後の継続アプローチは対応の仕方さえしっかり心得ておこなえば、ある意味、宝の山でもあるのです。

   すなわち、営業のセオリーは5ステップではありますが5ステップで終わりではなく、その後に位置する継続アプローチにも大きな「うま味」があるわけです。営業は成約で終わりではなく、継続的な営業活動をすることが実績につながるのです。(大関暁夫)

大関 暁夫(おおぜき・あけお)
株式会社スタジオ02 代表取締役 企業アナリスト
東北大学経済学部(企業戦略論専攻)卒。1984年、横浜銀行に入行。現場業務および現場指導のほか、出向による新聞記者経験を含めプレス、マーケティング畑を歴任。全国銀行協会出向時には対大蔵省(当時)、対自民党のフロントマンも務めた。中央林間支店長に従事した後、2006年に独立。銀行で培った都市銀行に打ち勝つ独自の営業理論を軸に、主に地域金融機関、上場企業、ベンチャー企業のマネジメント支援および現場指導を実践している。
メディアで数多くの執筆を担当。現在、J-CAST 会社ウォッチ、ITメディア、BLOGOS、AllAboutで、マネジメント記事を連載中。
1959年生まれ。
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