銀行を取り巻く環境に変化は? 人員削減でAI化、お客はネットに誘導
世界的な金融不安への警戒感が高まりつつあるなか、メガバンクは強気の姿勢を崩さない。
とはいえ、銀行を取り巻く環境は変わりそうで、変わらない。日本銀行のマイナス金利政策による利ザヤの縮小は、改善しつつあるが緩やかで、収益の確保はままならない。
また、メガバンク3行が大規模な人員削減や支店数の削減計画を打ち出したのは、2017年末のことだったが、その流れも止まらない。人員削減では、2024年までにメガバンク3行で合わせて3万人超の人員減が見込まれている。
人手不足、人材不足に頭を痛める企業が少なくないなか、メガバンクなどは新規採用を抑えることで人員数を減らしている。もっとも、それを可能とし、「後押し」しているのが、AI(人工知能)の積極的な導入による業務の効率化だ。将来的には、融資審査もAIが判断できる時代が来るという。
三菱UFJフィナンシャル・グループ(FG)は今夏、対話型AIのChatGPTを導入する。有用性と安全性を見極めたうえで業務に取り入れ、社内の書類作成や照会対応などで活用することを発表している。日本マイクロソフトのクラウドサービスを利用して独自のAIを開発する計画で、ChatGPTの生産性や顧客サービスの提供価値の向上につなげる。
三井住友FGは日本マイクロソフトと日本電気(NEC)は共同で、AIアシスタントツール「SMBC-GPT」の導入に向けた実証実験の開始を、4月11日に発表した。
当初は約600人の本部社員が利用するプロトタイプをつくり、文章作成や要約など業務支援に活用。2023年度上期中に三井住友銀行の全行員が利用できるようにする方針という。
みずほFGは、ChatGPTの金融に関するデータ収集やプログラミングのコード生成などで活用するため、想定するセキュリティ要件を確認しながら社内への導入を検討している。