動画や3Dなど...さらに広がる生成系AIの今後
実際、顧客対応やカスタマーサービスへの活用はすでに行われている。メール返信は、かなり実用性の高い分野で、「Ellie」というサービスは、2022年末のサービス公開直後から大きな注目を集めているという。
ChromeやFirefoxの拡張機能として提供されているサービスで、メールの文脈を理解したうえで、返信を作成してくれる。ブラウザの拡張機能としてインストールすることで、Gmailなどで利用可能になる。
「集合人格」をサービス向上に生かす、という利用法も興味深い。企業が持っている自社の顧客データをAIに学習させて集約し、商品開発などの際にその「人格」とチャットして意見を聞くという使い方だ。
これまでに集まった顧客の声に基づいて年齢や性別、属性ごとの疑似的な顧客をつくり、新商品の開発やパッケージデザイン選定について意見を聞く。海外では「viable」というサービスがすでに出ているそうだ。
嘘をつくAIとうまく付き合うには、「いったん全部疑ってみる」くらいの姿勢がいいかもしれないという。あくまでもサポートツール、アシスタントツールとしてとらえることが大切だ。
最後に文章や画像以外の、動画や3Dモデルなど、さらに広がる生成系AIを紹介している。また、アメリカのベンチャーキャピタルによると、2030年にはプロが作った文章を超えるという予測もあるという。
条件付きで、一部の官公庁や企業がChatGPTの利用を始めた。そのうち、さまざまな成功と失敗の実例が報告されることだろう。今はまだ補助的なツールだが、いかにうまく自分の仕事に活用するか、真剣に考える時期かもしれない。(渡辺淳悦)
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