「日本経済はどっこい粘り腰を発揮するかもしれない」
同欄では、日本経済新聞社特任編集委員の滝田洋一記者が、
「GDPは名目では前期比年率7.1%の伸びとなりましたが、名目GDPの年換算額でも570.0兆円と過去最高。前期比で約10兆円増えました。
名目が実質を大きく上回ったのは、デフレが解消しつつあるおかげでしょう。企業の売り上げや利益、給与明細、そして税収は名目値ですから、名目成長率の高まりは経済活動全体を温める役割を果たします」
と、名目成長率の上昇に注目。つづけて、
「そんな動きを見て日本株を再評価する動きが強まり、TOPIXは33年ぶりの高値に。資産価格の上昇が経済活動を後押しする――資産効果が働きだすなら、日本経済はどっこい粘り腰を発揮するかもしれません」
と、高評価を与えた。
しかし、同欄では、みずほ証券チーフマーケットエコノミストの上野泰也氏が、
「実質GDPは前期比プラス0.4%で、市場予想を上振れたものの、景気の本格回復は見えていない。個人消費は前期比プラス0.6%になった(実質GDP前期比への寄与度はプラス0.3%ポイント)。形態別国内家計最終消費支出(実質)で家計最終消費支出への前期比寄与度を見ると、耐久財のプラス0.3%ポイントと、サービスのプラス0.2%ポイントが目立つ」
と説明。そして、
「半導体などの供給制約が緩和した新車の販売台数増加、コロナ危機終了・政府の支援策が追い風の旅行・外食が、個人消費が1~3月期に伸びた主役と言える。しかし、これらは持続性のある伸びではない。物価高による圧迫、長生きリスクを意識した、基本慎重な消費姿勢が続くだろう」
と、個人消費の今後の伸びに疑問を投げかけた。