G7広島サミットの主要議題とは?
「週刊エコノミスト」(2023年5月23日号)の特集は、「G7広島サミットで考える 戦争 脱炭素 金融危機」。
5月19日から広島市で開かれる主要7カ国(G7)首脳会議(広島サミット)では、気候変動対策が主要議題の一つとなる。
エネルギー政策に詳しい橘川武郎・国際大学副学長は、石炭火力を使いつつ、アンモニアや水素を化石燃料と混焼するアンモニア混焼に変えていくという日本のやり方が、世界で唯一、建設的な提言だという。
なぜなら、新興国では石炭火力の比率が高く、欧州の「石炭をやめろ」というやり方では、手の打ちようがないからだ。しかし、世界の評価は、日本に対して厳しい。それはドイツが石炭火力をやめる時期を明言しているのに対し、日本はそうではないからだ。そのためにも、石炭火力の廃止時期を明示すべきだと、同氏は話している。
日本の政治が求められるものについて、寺島実郎・日本総合研究所会長が語っている。岸田首相が3月にインドを訪問してから、ウクライナを電撃訪問し、ゼレンスキー大統領と会談したことをG7議長国として、極めていいタイミングだったと評価したうえで、日本はロシアに対しても取るべき行動があるはずだ、と問題提起している。
また、サミットが広島で開催されることの意義を考え、核兵器禁止条約に被爆国である日本が署名、批准していない事実は重いとして、たとえば、条約への部分的な参画を模索すべきだと提案している。
条約の第6条に「被害者に対する援助及び環境の修復」という条項があるので、原発事故が起きたチェルノブイリや福島、南太平洋諸島など多くの国や地域が、この対象となる。この第6条にのっとり、日本が技術協力や支援に踏み込めば、日本の創造的立ち位置を示せるはずだという。
このほか、自動車の脱炭素化で日独が注目する「合成燃料」、グリーン化が急務の国内鉄鋼業などのリポートに注目した。
19日から始まるサミットで、何が話し合われるのか注目したい。(渡辺淳悦)