今、投資するならどの会社?業界?...ダイヤモンド「人気株」、東洋経済「漂流するセブン&アイ」、エコノミスト「G7広島サミット」を特集

「物言う株主」の攻勢を受けるセブン&アイ

   「週刊東洋経済」(2023年5月20日号)の特集は、「漂流するセブン&アイ」。小売業初の売上高11兆円を達成したセブン&アイだが、「物言う株主」の攻勢を受けている。その先行きは不透明だという。

   セブン&アイは4.4%の株式を保有するアクティビスト(物言う株主)から、イトーヨーカ堂やそごう・西武といった不採算事業からの撤退とコンビニエンスストア事業の分離・独立を求められている。

   だが、業績が絶好調であるため、問題の解決に踏み切れないという。好業績といっても、売上高の7割以上が21年に約2兆円で買収したガソリンスタンド併設型コンビニの米スピードウェイを含む北米のコンビニ事業なのだ。セブン&アイが最高益である今こそ、国内の不採算事業の処理を急ぐ必要があるというのだ。

   イトーヨーカ堂の再建策が先日、ニュースで報道されたばかりだ。不採算店33店を閉鎖したうえで首都圏に集中。事業については自社アパレルから撤退し、「食」に集中するというものだ。

   こうした戦略はかつてダイエーが打ち出した再建策と、うり二つだという。首都圏ではイオングループに圧倒されており、県によってはライフコーポレーションやヤオコーにも負けており、挽回は難しいという食品スーパー幹部の声を紹介している。

   総合スーパーにおける衣料品販売は、何もイトーヨーカ堂だけが苦戦しているわけではない。日本チェーンストア協会の統計によれば、92年に3.9兆円あった総合スーパーの衣料品売上高は、22年に7344億円と、30年間で約8割も減少している。その分、ユニクロやしまむらといったカテゴリーキラーや専門チェーンが台頭したのだ。

◆そごう・西武の売却は袋小路に

   もう1つの問題が、そごう・西武の売却だ。22年11月、米フォートレスに全株式を2000億円で売却する契約を締結したにもかかわらず、期日の23年2月1日になっても実行されず、無期限延期になっているのだ。

   話がまとまらないのは、フォートレスが家電量販大手のヨドバシホールディングスをビジネスパートナーに選んだことにあると見られる。ヨドバシは西武池袋本店の半分を要求していると言われ、とうてい西武が飲めるものではない。袋小路から抜け出せそうにないという。

   セブン&アイ・ホールディングスの井坂隆一社長は、同誌のインタビューに対し、コンビニの成長には「食」の強化が必要で、そのためには、スーパー事業が欠かせない、と話している。

   イトーヨーカ堂とセブン-イレブンとの関係など、人事の確執にも触れている。日本人の多くが利用している巨大小売業の知られざる一面を知ることができる特集だ。

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