「バブル再来」「3万円目前」と湧く日本株上昇に思わぬ落とし穴...エコノミストが指摘「世界経済悪化と、エルニーニョ現象の冷夏が日本を襲う」

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「お得感」が人気なだけ、日本企業の業績は買われていない

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東京証券取引所本館

   ただし、日経平均株価が3万円という大台を超えて、その後も上昇基調を維持できるかどうかは楽観できない――そう指摘するのは、三井住友DSアセットマネジメントのチーフマーケットストラテジスト市川雅浩氏だ。

   市川氏はリポート「日経平均株価の30,000円という水準について」(5月16日付)の中で、現在の日本株上昇の背景には5つのポイントがあると説明する。

(1)インバウンド(訪日外国人)需要の回復期待が高まっている。
(2)東京証券取引所が上場企業に資本コストや株価を意識した経営を要請した。
(3)日本銀行の植田和男総裁が就任会見で緩和継続姿勢を示した。
(4)米著名投資家ウォーレン・バフェット氏が日本株の追加投資を示唆した。
(5)今春の平均賃上げ率が3.89%増と、31年ぶりの高水準となった(日本経済新聞社調べ)。

   ただし、これ以上の株高継続には、さらなる業績予想改善につながる材料が必要だとして、こう指摘する。

「2023年度の企業による業績予想は、総じて慎重な内容となっています。そのため、日経平均株価の予想EPS(1株あたり利益)とPER(株価収益率)をみると、EPSが低迷する一方、PERは上昇しており【図表2】、足元の株高は、業績予想に支えられる部分が相対的に小さいといえます」
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(図表2)日経平均株価のEPS(1株当たり利益)とPER(株価収益率)(三井住友DSアセットマネジメントの作成)
「日経平均の3万円台回復は視野に入ってきていますが、その後も上昇基調を維持するには、海外景気の安定に加え、国内企業が成長持続のための構造改革を進めるなど、業績予想の改善につながる材料が追加的に必要と考えます」
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