国立社会保障・人口問題研究所の「日本の将来推計人口」から将来の日本の姿をみる2回目は、高齢化の姿を取り上げ、将来の人口推移をみてみよう。推計は高位、中位、低位の3パターンで行われているが、今回も中位の推計を軸に取り上げる。
第1回目では、日本の人口の自然増減について、出生数と死亡者数から人口減少が進む姿をみてきた。特に、特殊合計出生率の低下と出生数の減少により、少子化が進展する姿が浮かび上がった。
平均寿命は延びるが、出生数は減少...人口構造は、高齢者の割合高まる
日本が抱えるもう一つの大きな問題である高齢化はどのように進むのだろうか。高齢者の増加には、出生数の減少により高齢者の割合が高まる要因とともに、高齢者が長寿化するという要因もある。
平均寿命は男性の場合には2022年の81.48歳から2027年に82歳台、2036年に83歳台、2046年に84歳台、2058年に85歳台と長寿化が進み、2070年には85.83歳になると予測されている。2022年から2070年までに4.35歳、寿命が延びることになる。
一方、女性の場合には2022年の87.58歳から2026年に88歳台、2035年に89歳台、2046年にはついに90歳台に乗り、2058年に91歳台、2070年には91.87歳にまで長寿化すると予測されている。2022年から2070年までに4.29歳、寿命が延びることになる。(グラフ1)
平均寿命が延びる一方で、出生数の減少により、人口構造では高齢者の占める割合が高まることになる。
年齢3区分の人口数は、「0~14歳」は2022年の1451万5000人から2053年には1000万人を割り込み、2070年には800万人を割り込み、797万5000人にまで減少する。
「15~64歳」は2022年の7419万6000人から2062年には5000万人を割り込み、2070年には4535万人にまで減少する。
その半面、「65歳以上」は2022年の3626万6000人から2043年には3952万9000人まで増加するが、その後は減少に転じ、2070年には3367万1000人になると予測されている。
高位(希望的)推計で特殊合計出生率1.64、総人口9549万人 低位(悲観的)推計で特殊合計出生率1.13、総人口8024万人
少子化の影響を大きく受けて「0~14歳」は減少を続け、さらに、「15~64歳」も減少の一途を辿る。だが一方で、「65歳以上」は高齢化の影響で増加するものの、その後は人口減少により、65歳以上も減少に転じるというのが、将来の日本の姿だ。
そこには、15~64歳の労働力人口がひたすら減少していく姿が浮かび上がっている。
総人口に占める年齢3区分の割合は、「0~14歳」は2022年の11.6%から2070年には9.2%に減少し、「15~64歳」は59.4%から52.1%に減少し、「65歳以上」は29.0%から38.7%に増加する。(グラフ2)
そして、少子化高齢化と多死社会が進む中で、日本の総人口は減少を続けるだろう。2022年の1億2497万8000人から2056年には1億人を割り込み、その後も減少と続け、2070年には8700万人にまで減少すると推計されている。
つまり、日本の総人口は今後47年間で3割以上減少するという予測となっている。(グラフ3)
さて、将来人口推計は高位、中位、低位の3パターンで推計されている。
高位は希望的、低位は悲観的と言ったところだろうか。そこで、高位と低位の重要指標も取り上げると、高位推計では2022年に1.25だった特殊合計出生率が2070年には1.64に回復し、出生数は72万5000人で、総人口は9549万人までの減少にとどまると見る。
一方で、低位推計では2070年の特殊合計出生率は1.13まで減少し、出生者数は34万4000人に減少、総人口は8000万人割れ直前の8024万人まで減少すると推計されている。(表)
筆者は、これまでの将来人口推計の多くが下振れし、低位推計に近い結果となっていることから、今回の推計も低位推計の実現性がもっとも高いと考えている。