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【2024年卒就活生】5月1日で早くも内定率65%、進路確定率42%! 「自分らしく」働ける企業求め、内定獲得後も半数以上活動続ける

   2024年卒大学生・大学院生の就職活動が「終盤戦」に突入した。

   リクルートの就職・採用関連の研究機関「就職みらい研究所」(東京都千代田区)が2023年5月11日に発表した、2024年卒大学生・大学院生が対象の「就職プロセス調査(2024年卒)『2023年5月1日時点 内定状況』」によると、5月1日時点で早くも内定率は約65%、進路確定率が約42%に達し、かつてないハイペースで進んでいる。

内定者、過去最速ペース...ダントツに高いのは情報・通信

   調査によると、就職内定率(大学院生を除く)は65.1%で、同じ時点の昨年(2023年卒対象)の58.4%に比べ、6.7ポイントも上回る早いペースだ【図表1】。

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(図表1)就職内定率(リクルート就職みらい研究所の作成)

   これは、現行の就職・採用活動日程になった7年前の「2017年卒」の調査を開始して以来、最高の内定率だ。「2017年卒」の5月1日時点の内定率は25.0%だったから、2.6倍の高さだ。

   内定率を文理別で見ると、「文系」が63.8%(前年比プラス7.7ポイント)、「理系」が68.3%(同プラス4.2ポイント)。特に「文系」が4月1日時点から17.3ポイトも増加したことが目立つ。

   男女別では、男性(65.9%、同プラス12.7ポイント)のほうが女性(64.2%、同プラス20.9ポイント)よりやや高いが、4月1日時点ではもっと差がついていたから、ここにきて女性の追い込みが目につく。

   内定取得先の業種をみると、情報・通信業が28.3%と、ダントツに高いことが特徴だ。「ChatGPT」など生成AI(人工知能)の開発競争に表れているように、ITスキルを持つ人材は世界的に奪い合いが激しく、優秀な学生は早くから海外から誘いの手が伸びるため、IT系企業の選考が早く進むようだ。

   次いで、ウィズコロナで企業活動が活発化した製造業(機械以外、16.8%)、サービス業(14.8%)、機械器具製造業(14.5%)、小売業(11.3%)などが上位に並んだ【図表2】。

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(図表2)内定取得先企業の業種(リクルート就職みらい研究所の作成)

   内定を取得した企業数をみると、平均2.16社で、前年の1.99社より増えている。内定取得者のうち2社以上内定を取得した学生の割合は55.2%で、昨年の51.7%よりかなり高い【図表3】。

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(図表3)内定取得先企業数(リクルート就職みらい研究所の作成)

特定の業種、特定の学生に集中せず、幅広く分け合う傾向

   さらに、早いスタートダッシュを反映して、進路確定率も4割超の41.5%(同プラス3.5%)と高い水準に達している【図表4】。

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(図表4)進路確定率(リクルート就職みらい研究所の作成)

   その一方で、昨年以上に内定辞退企業数が多いことも、今年の特徴だ。早くも2社以上を辞退した人が17.8%いるのだ。内定辞退率は4月1日時点から7.8ポイント増加し、40.9%(昨年比プラス1.6ポイント)と例年以上に高い。

   こうした結果から、特定の業種、特定の学生に内定が集中することなく、幅広く分け合う傾向が見られることが、昨年に続き今年の特徴のようだ。

   また、就職活動の具体的な活動内容を聞くと(複数回答可)、「就職に関する情報を収集した」(83.0%)、「エントリーシートなどの書類を提出した」(82.5%)、「適性検査や筆記試験を受けた」(79.0%)、「Web上の面接を受けた」(71.9%)、「面接など対面で選考を受けた」(68.4%)、「自己分析をした」(64.6%)などが上位に並んだ【図表5】。

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(図表5)4月末までの各活動実施状況(リクルート就職みらい研究所の作成)

   情報集めを開始して、具体的に適性検査や筆記試験などの選考試験を受ける段階まで進んだ学生が非常に多いことがうかがえる。

自分らしく働けるよう、粘り強く就活を続けよう

   就職みらい研究所所長の栗田貴祥氏はこうコメントしている。

「就職内定率は高い水準で推移していますが、内定取得者の就職活動実施率は52.2%(前年比プラス3.3ポイント)と、内定取得後も活動を継続している学生が半数を超えます。より志望度の高い企業からの内定取得を目指す一方で、例年選考など企業との接点を通じて、自分らしく働ける環境があるのか見極めたいと考える 学生の声も聞かれます。
企業の皆さまには、選考中はもちろん、内定を出した後も、学生が納得感を持って進路を決められるよう、働き方などについての積極的な情報開示や若手社員との対話の機会をつくるなどして、学生とコミュニケーションを取っていただければと思います」

   焦らず、粘り強く、自分らしく働ける職場を目指して就職活動を進めていこうと励ました。

   調査は、2023年5月1日~8日、2024年卒業予定の大学生・大学院生を対象に、リクルートが運営する就活支援サイト「リクナビ」のモニターに登録した学生4567人(大学生3574人・大学院生993人)にアンケートした。(福田和郎)