法改正の施行から1年、男性「育休取得」の状況は? 調査で判明...「収入減」「人手不足」などから、取得率は3割 「取得しづらい雰囲気」に変化を

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   育児・介護休業法が改正され、2022年4月の施行からおよそ1年――。この改正によって、男女とも仕事と育児を両立できるよう、企業には産後パパ育休制度の創設や、育休制度の周知、取得促進などが義務化された。

   こうした変化にともない、男性の育児休暇取得率はどのくらい高まったのだろうか?

   マイナビ(東京都千代田区)が2023年5月9日に発表した、マイナビ転職「育休に対する男女の意識差と実態調査」によると、5日から半年以内の育休を取得した男性は35%、女性は49.5%に上ることがわかった。

   また、育休中のパートナーの行動に対して、女性からは「全部一緒にやってくれた。一生の思い出になった」、「言えば育児をやってくれるが、言わないと何もしない」などの賛否の意見が上がるなど、育児休業の実態、育休の不安やキャリアへの影響などについての男女差が明らかになった。

  • 子どもと遊ぶ会社員男性(写真はイメージです)
    子どもと遊ぶ会社員男性(写真はイメージです)
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なかなか進まない男性の育児休暇の取得...キャリアや収入への影響はどのくらい?

   この調査は、2023年3月3日から5日までの間、小学生未満の子どもをもつ20代から40代の男女の企業・団体正社員と公務員800人を調べた。

(マイナビの作成)
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   はじめに、パートナーの育休取得日数を聞いたところ、女性の回答では「(男性パートナーは育休を)利用したことがない」が最多の「65.0%」となった。男性パートナーが育休を取得した人の日数を見てみると、「5日以内」が「12.0%」、「1カ月以内」が「7.8%」、「2週間以内」が「5.8%」の順となった。男性の育休取得は短期間が多く、育休取得へのハードルの高さがうかがえる。

(マイナビの作成)
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   続いて、「自分自身が育休を取得しなかった理由」について男性のデータを見てみると、「収入減少」(23.7%)、「人手が足りていないなど、職場に取得してはいけない空気があった」(17.8%)、「職場に前例がない」(15.9%)などが主で、数値全体も女性よりも高いことがわかる。

   同社では

「男性の育休取得は、男性が育児にかかわりやすくなるためだけではなく、家事育児の負担を均等化させることで、女性の就業継続を促進することにもつながる。 そのため、女性に比べて男性が感じている『職場での前例のなさ』や『人手不足により取得しづらい雰囲気』などの打破が今後求められるであろう」

   としている。

(マイナビの作成)
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   つぎに、「育休取得によって今後のキャリアにどんな影響が出ると思うか」と聞いてみると、男女ともに最多になったのは「わからない」(男性:34.3%、女性:23.8%)となった。

   男性のデータに注目すると、「わからない」(34.3%)と「影響はなさそう」(18.0%)を合わせると過半数を超えた。

   一方で、女性のデータでは「昇進にネガティブな影響がありそう」と回答した女性は「20.5%」で5人に1人が挙げている。

   同社では

「産休育休からの復帰後も、保育園との兼ね合いで就業時間が限定されたり、子供の体調不良で急な休みを取らざるを得なくなったりすることから、責任の重い仕事や出世コースから外れてしまう、いわゆる『マミートラック』への懸念と予想できる」

   と分析した。

男性の育児参加...女性からの期待で多いのは「おむつ替え」「子供のお風呂」、そして「苦労や喜びの共有」!

(マイナビの作成)
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   また、育休中のパートナーに期待することを尋ねると、男性は「特にない」が「37.8%」で、2位は「子供の寝かしつけ」が「24.8%」、3位は「子どもに食事を食べさせる」が「24.3%」だった。

   対照的に、女性は「子供のおむつを替える」が「40.0%」、「子供をお風呂に入れる」が「39.3%」など、30%を超える回答がほとんどで、パートナーが育休中に家事育児へ参加することを強く求めているようだ。

   さらに女性は、「子育ての苦労や喜びを共有する」(37.8%)、「子育ての当事者意識を持つ」(33.0%)など、気持ちの寄り添いを求めているのも特徴的で、男女間の育休に対する意識の差が垣間見える結果になった。

(マイナビの作成)
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   最後にパートナーの育休への満足度を100点満点で表してもらった。

   すると、男性は平均「83.3点」、女性は平均「69.8点」で女性からの採点が厳しいことがわかる。

   女性から寄せられた、上の点数の理由については、

・昼間も自分の時間を持てないことをわかってくれたと思う。
・全部一緒にやってくれた。一生の思い出になった。
・夫が1人で、2人の子供を見られるようになった。私一人で背負わずに育児ができて負担が半減した。

   などポジティブな意見がある一方、

・育休中に資格取得のための勉強をすると言った。
・言えば(育児を)やるが、言わないとやらない。
・子どもの面倒と旦那の食事など負担が多かった。

   など、育児に対する男女の温度差を感じさせる回答も見られた。

   「マイナビ転職」編集長の荻田泰夫氏は以下のように総括した。

「育休周知が義務化されてから約1年。厚生労働省の調査でも男性の育休取得率は確実にあがっています。しかし、まだまだ取得ハードルが高いのも事実です。
『そもそも人手不足』『育児以前に自分の体調不良でも、休みを取りづらい』という意見も多いことが分かりました。
今後は、『前例がない』というハードルに加えて、『育休の間、誰が業務をフォローするか』という現場目線の対策が、企業に求められるようになるでしょう」
「また、調査では『育児にかかわらず休みを取りやすい環境であることがワーキングファーザー/マザーとしての働きやすさにつながる』という声も見られました。
育児以外にもさまざまなライフイベントが訪れる可能性は、長く勤めることを考えればすべての社員・労働者に不可避です。優秀な人材を逃さないために、あらゆる社員の変化に対応できる職場を作っていくことが、今後ますます重要になります」
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